【ライブレポ】The Naleio × Waseda Music Records



The Naleio × Waseda Music Records
2017.4.23.sun
OPEN14:10/START14:20
@早稲田大学学生会館B101

Hot Buttered Rum Cow
Hitsville
United States of Atami
Kepakemapa

恋は魔物
メロウ・イエロー・バナナムーン
MINAMIS









青空が広がる昼下がり。早稲田駅から歩いて5分とすこし。
学生会館に足を踏み入れると、いつも通り、階下からさまざまな楽器の音が聞こえてくる。
地下1階は早稲田の音楽が集う場所だ。

今日、私の足は、通い慣れたサークルの部室ではなく、B101へと向いていた。

『The Naleio × Waseda Music Records』

早稲田の歴史あるバンドサークルであるThe Naleio(通称ナレオ)と、史上初の学生レーベルサークルであるWaseda Music Records(通称ワセレコ)の共同企画イベントだ。
ナレオ所属バンドで4組、ワセレコブッキング枠で3組、がそれぞれブッキングされ、交互に演奏する形式となっている。

今回はワセレコ枠の3組に注目して、様子を覗いてみる。


ダウンライトの下、円陣を組む影を落として、現れた4人組。
妖艶な赤いロングスカートという身なりからは想像つかない、強く高く楽器のようによく響く声のボーカル。時に鋭く、時に空間を歪ませ、曲だけでなく会場全体を音の世界観に引き込んでいくギター。そして声は「悲しみよ、こんにちは」と言った。
彼らは、恋は魔物、である。
静と動を見事に織り交ぜた演奏スタイルに思わず見入ってしまう。
演奏が一旦止み、軽い挨拶がなされる。今回のイベントの主催であるナレオは、田中(Gt.)が学生時代に所属していたサークルだという。また、「この春に入学したばかりの新入生に向けて、キラキラなキャンパスライフを!…と言いながら次は暗い曲やりまーす(笑)」と、さっきまでのクールな表情とは一変して、MCではふっと会場を笑わせる場面もあった。
恋するドキドキ感よりも、ただひたすら絶望感に目を向けた曲を、潔く歌い上げていく。その音で、私は恋している瞬間の胸が苦しくなる感覚に襲われる。作詞を手がけるいづみさとー(Vo.)は、恋するときに自分の気持ちは諦めたくない、と語る。
普段、下北沢で演奏する彼らは、どんなふうに歌うのだろうか。
そう思わずにはいられないほどに、脆く儚い中の凛とした強さを持つステージだった。





ナレオはブラックミュージックやファンクといったジャンルを主に演奏するため、1バンドあたりの人数が多いことが特徴である。バンドセットも、パーカッションや金管楽器が加わった編成となる。
そんなナレオ枠から転換して現れたのは、相も変わらずパーカッションや金管楽器をも含む9人組だった。
そう、彼らはナレオが輩出したオリジナルバンド、メロウ・イエロー・バナナムーンだ。
登場するやいなや、ひときわ大きな歓声が響く。曲が始まれば、メロディーに観客は微笑み、テンポの良いリズムに体を揺らす。
順調に曲を重ね、いよいよラストは私の大好きな曲、『Cycle!』。
透き通るほどにのびやかな緒方(Vo.)の声がリードし、それに寄り添うように斉木(Cho.)が心地よいハーモニクスを生み出す。そこへうたうベースラインが重厚感を与え、ギターのリフ、キーボードと金管楽器隊が絶妙なアクセントとなる。リズム楽器の作るしっかりとしたグルーヴ感が、多方向に広がるバンドをうまく束ねていく。本当にバランス感がいい。
会場にはただひたすらに”楽しい”が溢れて、誰もがワクワクした目でステージを見つめる。キラキラした音の粒が舞う。なんだか、音を楽しむということを改めて実感したような気がした。





だんだん日も落ちてきて、次第に迫る夕暮れ。ナレオが主とする音楽のせいだろうか、長丁場の疲れが浮かびはじめるはずの会場は、開演時よりも熱を帯びていて、皆なにかを心待ちにした表情をしていた。
そして、いつものSEが流れる。会場全体のクラップに合わせて、ステージに上がり横に並び、互いに肩を組む4人組。MINAMISだ。
初っ端から会場を巻き込んでいく、特徴的なギターリフ。ベースは歌メロに添いながらも、時に表情を変えるから面白い。頭で考えなくとも自然と体が動いてしまうのは、やはり後ろでビートを刻むドラムスの楽しげな笑顔によるではないだろうか。さらに南雲(Vo.)のアシストで、観客は手を挙げ声を上げ、気づけばステージから片時も目が離せなくなっているのだ。
彼らの猛烈なスピード感に胸を弾ませている、とここでまたひとつ意外性をMCに盛り込んでくるのが彼らだ。4人中3人がナレオ出身で、そのうちが中退と平部員と、そして普段ライブでは滅多に発言しない高坂(Gt.)が元幹事長だったという。彼は「3年間サークルで音楽をやって得たもので、一番大切なものは僕たちの演奏を見てもらって伝わるといいな」と、照れくさそうに語る。Twitterのバンド紹介に、”誰よりもまっすぐ、誰にでもまっすぐ。”と掲載されているが、まさにその通りだと思った。
ラストの『アイ』で、彼らは最後の最後まで会場をMINAMISという渦に巻き込んでいった。





本イベントは、ワセレコが早稲田大学内のバンドサークルと初めての共催を実現し、双方に縁のあるブッキングを組み、年齢も学年も世代も超えた、小さな同窓会のようなあたたかいイベントになったのではないだろうか。また、好きな音楽ジャンルによらない繋がりが生まれた1日であったようにも思う。

出演したアクトがそれぞれ思い思いに語ったように、大学には自分の輝ける場所、ここだって思える場所が、必ずあるはずだ。1現役早大生の私が語るには足りないが、そんな4年間だったと胸を張って卒業できるような時間を、ここで過ごしたいと思わせてもらった、素敵なイベントであった。そんな穏やかな春の日。