4月8日に迫った「音楽万博」。
出演サークルやイベントの紹介に加えて、各サークルの演奏する民族音楽を、より多くの方に知っていただくべく、今月インタビューを敢行しました。
本日は”オルケスタ・デ・タンゴ・ワセダ”のインタビュー記事を公開いたします!
原型のリズムはイベリア半島発祥。そこから南米アルゼンチン、ウルグアイなどを中心に各地に広まり、現在伝統的なダンス・ミュージックとしての地位を確立しているタンゴ。
オルケスタ・デ・タンゴ・ワセダは、そのなかでもバンドネオンの使用を特色とする「アルゼンチン・タンゴ」を研究・演奏している、国内大学でも唯一のサークルです。
お話を聞かせてくださったのは、タンゴ・ワセダの代表、竹島さん。
(抱えているのがバンドネオン)
タンゴを始めたきっかけやその魅力、そしてアルゼンチン・タンゴを定義づけていると言ってもいいユニーク楽器「バンドネオン」について、いろいろ教えていただきました!
まだまだ知らない世界が広がっている、、と実感したインタビューでした。
新入生のみなさんにも、タンゴに興味を持っていただければ嬉しいです。
―今日はよろしくお願いします。
竹島さん(以下敬称略):よろしくお願いします。
◯タンゴを始めたきっかけ
―まず、タンゴの方々って、高校時代はどんな部活をされていたのかについて…。
竹島:室内楽とか、吹奏楽出身の方が多いです。自分は合唱出身で。合唱部出身も結構いますね。概ね音楽系が多いです。
―合唱部ですか。演奏の経験はあったりしたんですか?
竹島:演奏、はしたことなかったです。合唱曲の音取りで、ピアノでコードを軽く弾くくらいで、そういうところから楽器をはじめました。音楽に触れてはいたんですが、楽器の扱いとかは全くの初めてでしたね。
―なるほど。どうして、タンゴに入ろうと思ったんですか?入ろう、と決めたきっかけは?
竹島:私は新歓ライブに行ったのがきっかけですね。すごく情熱的で。偶然タンゴの新歓コンパに行って、そこからライブにも遊びに行ったんですよね。それまではアストル・ピアソラとかも知らないし、どんな楽器があるかも知らなかったんですけどね。「くろねこのタンゴ」くらいしか知らなかったです(笑)。
◯タンゴの歴史
―タンゴってもともとどんな音楽だったのでしょうか?
竹島:タンゴが生まれてきたころはお堅いダンス・ミュージックだったんですよ。絶対にテンポを逸脱しないし、あんまり複雑な和音も多用しない。編成もシンプルだったんです。フルートとギター、バンドネオンだけで。機動性が高くて、どこでも行けて、っていう。それからピアノとかコントラバスとか、重い楽器を使うようになったり。
―お堅いダンス・ミュージックっていうのは、社交ダンスの人たちが踊るダンス・フロアみたいなところで、楽団が演奏しにきている、みたいなイメージですか?
竹島:そうですね。そこからちゃんと音楽として魅せよう、という。BGMから鑑賞する音楽になっていったんですよね。ダンサーとか、保守層からは批判もあったみたいなんですけど。ピアソラもそういう風に反発した人のひとりだったようです。
そこからオルケスタという形の原型を作り出したのがフランシスコ・カナロという奏者で。あんまり間違ったこと言えないですが(笑)。大編成でのタンゴを確立した人です。
―なるほど。そういう、”タンゴ界のスター”的存在を全然知らなくて…。幼稚な質問で恐縮なんですが、タンゴの王様みたいな人っているんですか?ロックでいうポール・マッカートニー、みたいな…。
竹島:大御所はもう亡くなってきていて。『LATINA』っていう南米音楽雑誌があるんですけど、それに毎月だれかの追悼文が載っているんですよね…。
最近の人だと、オラシオ・ロモというバンドネオン奏者が有名です。アルゼンチン出身の方です。あとはパブロ・エスティガリビアというピアニストもいいです。
向かって手前右側でバンドネオンを弾いているのが、オラシオ・ロモ。
◯早稲田でタンゴをやる、ということ
―なるほど。全然知らなかったです…。後で聴いてみます。日本の演奏者についてもお聞きしたいんですが、国内のプロ奏者の方々と交流する機会ってあったりしますか?
竹島:ありますよ。レッスンを受けたりとか、一緒に演奏したりとか。50年〜60年代って、日本でもタンゴが流行った時代で。各大学に結構タンゴのサークルってあったんですけど、それがどんどん廃れていったんですよね。いまではもう早稲田くらいにしか、タンゴのサークルってないので。
―あ、そうなんですか。
竹島:でも幸か不幸か、同世代の仲間こそ少ないですが、外部のダンス・パーティでの演奏に呼んで頂いたりとか、プロの方とも距離は近いと思います。
―インカレでしたっけ?
竹島:そうですね。他大の子もいます。だいたい20人くらいで、いつも活動しています。
―なるほど。それでは普段聴いている音楽などをお聞きしていこうと思います。やっぱりタンゴ作品を聴いていらっしゃるんですか?どこで手に入れるのでしょうか、?
竹島:ですね。よく聴いています。ネットで輸入したものを買うか、それこそ先ほど話していた『LATINA』というのは、月刊誌も発行していますが、オンラインでCDやLPなども取り扱っているので。あとはディスクユニオンの、狭いアルゼンチンコーナーを探したりとか(笑)。SpotifyとかYouTubeでも聴いたりします。
―へえ〜。普段からもう、タンゴ一色聴いているって感じなんですか?ロックとか、ジャズ…、とか聴きますか?
竹島:けっこうタンゴばかりですね。ほかはあんまり…、聴かないですね。
―え〜!すごい。みなさんそうなんですか?タンゴオタク、的な…。
竹島:まあ人によります(笑)。フュージョンマニアと兼サーしている子はもちろん、ブラック・ミュージックとかも好きですし、宝塚が好きな子もいますし。自分は偏ってますが(笑)。
◯タンゴ特有の「バンドネオン」
―タンゴをやっていて難しいところってなんですか?
竹島:スケールはそんなに変なことないんですけど。大変なのは、コピーをする曲の楽譜が売っていないので、自分たちで採譜をしなければいけなくて。ピアノとかの基礎がわかっていたほうがいいんですが、それを理解するのが大変です。僕はピアノ譜は書けないので。
―なるほど。タンゴに独特のもの、って言ったら、なんですかね。やっぱりリズム感ですか?
竹島:そうですね。リズムが一番独特だと思います。多用される転調とか、音使いとかはありますけど。
―あとはバンドネオンの音色ですかね。すごく独特の音色ですよね。
竹島:あ、実際に聴いてみますか?部室がいま開いていると思うので。ぜひ。
―いいんですか(笑)。ありがとうございます。
部室へ。実際にバンドネオンを見せてもらう。
―めちゃ格好いいですね。音もすごく…。
竹島:哀愁があっていいんですよね。左手はベース音、右手が上音なんです。4本の指でだいたい次の音にいけるようにはなっているので、設計者の意図はなんとなくわかるんですけど、鍵盤(ボタン型)がバラバラなので、そこがちょっと難しいです。
―ちょっとなんか、記事用に弾いてもらうことって可能ですか?すみません…(笑)。
竹島:あ、いいですよ。ちょっと練習します。半端な音出せないですね(笑)。
実際に弾いてもらった音がこちら。。
―うわ〜〜!ありがとうございます。なんかちょっと感動しちゃいますね。
バンドネオンをやるぞ、ってなると、どれくらい練習するんですか?
竹島:最初は、「ラ・クンパルシータ」という一番有名な曲を練習します。あとはコードを覚えたりとか。6月に、新入生コンサートがあるので、それまで練習して、初めてお披露目、という感じですね。
―それでは最後に、音楽万博に向けて意気込み、とかあれば…(笑)。
竹島:そうですね…。踊りだすようなタンゴのリズム感を、うまくお伝えできればと思います。
―僕たちも楽しみにしてます。今日は本当にありがとうございました…!
オルケスタ・デ・タンゴ・ワセダ
HP: http://tangowaseda.web.fc2.com/about/
Twitter: https://twitter.com/tangowaseda
4月8日、ワセレコ主催「音楽万博」!
オルケスタ・デ・タンゴ・ワセダをはじめ、ほかにもなかなか味のある民族音楽を聴くことができます。
入場無料ですので、新入生も、そうでない方も、こぞってご来場ください。