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2019 K-POPグラミー賞!―ワセレコ員(個人)が(勝手に)選びました!―

 

あと2か月足らずで母国の徴兵に行く留学生です。

 

最近、GRAMMY AWARDSの授賞式があって、意外と革新的な―というか前からそうすればよかったのに―授賞結果に感動し、うちの音楽界も広く知られたらいいなあ、という意味で、浅い知識にもかかわらず、去年聴いてきたいろいろな音盤をこの機会に紹介していきたいと思います。

 

この記事で紹介する音盤や曲らは主に色々なWeb ZINEや愛好家・批評家たちのお勧めとレビュー及び年末決算、そして「韓国大衆音楽賞」の候補群などから聴いて、自分の浅い知識と偏見のこもった嗜好と都合で選んでいます。ので、まあ一人の意見及びおすすめリストとして受け取ってもらえるとうれしいです。

 

では早速行きましょう!

 

選定期間:2017.12.01~2018.11.30

 

 

 

 

 

GENRE FIELDS

 

 

 

BEST POP ALBUM

 

Lee Jin Ah Jinah Restaurent Full Course

 

 

ユニークな音色と独歩的な演奏実力、心安らかでウイットのある作詞・作曲まで、本当に魅力が多すぎる「フルコース」です。ジャズを基盤にヒップホップ、エレトリックなどのジャンルを取り入れているにもかかわらず、きっちりと整えられて聴きやすいサウンドで迎えてくれます。僕らが日常の中で出会う感情を描き出して、音楽を通じて共有するその場がすごく平和でより取り見取りです。

 

候補群

  • BTS 『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』
  • SHINee 『‘The Story Of Light’ Epilogue』
  • NCT 127 『Regular-Irregular』
  • イ・ムンセ 『BETWEEN US』

 

 

 

BEST ROCK ALBUM

 

Asian Chairshot IGNITE

 

 

ロックバンドなのに、まるで楽しい伝統農楽を聴いてるみたい!というのが初感想です。いわば「韓国らしい」ロックです。これをどう説明するべきかは知りえませんが、とにかくこのアルバムは「恨」の感情を「興」として昇華します。エネルギーに耐えきれず外部に怒りを吐き出しつつもサイキデリックで観照的な姿も見せますし、強烈に走りますがどこか空虚です。固有の正体性は混乱で、渡ってきた道も行くべき目的も失ったが、我らの青春はただ美しく燃え上がっているのを、強烈なエネルギーをつぎ込んで証明します。

 

候補群

  • Decadent 『Decadent』
  • Say Sue Me 『Where We Were Together』
  • 柴雨林 『Jaurim, 10』
  • Kiha & The Faces 『mono』

 

 

 

BEST METAL ALBUM

 

Dark Mirror Ov Tragedy THE LORD OV SHADOWS

 

 

まあ、自分自身メタルに全然詳しくないですが、それでも圧倒的なヘヴィネス・オーケストラの饗宴です。各セッションの素敵な演奏たちが、図り切れないほど緻密な構成のもとに集い、アルバム全体にかけて巨大な一曲を完成していく光景を聴くと、本当に感嘆の連続です。引くときは引き、クライマックスでは絶えずに突っ走る演奏とグロウルは我らを闇の世界につき込んで、自分の中の影(Shadow)と奮闘する過程を描き上げます。闇が積み上げる華麗さにみんなと一緒に感動されたいです。

 

候補群

  • Plugged Classic 『Sabai』
  • Day Of Mourning 『This Too Will Pass』
  • Noeazy 『Triangle』
  • Memnoch 『COMMAND HALLUCINATION』

 

 

BEST FOLK ALBUM

 

空中泥棒 Crumbling

 

 

一応、フォークに入れましたが、フォークだけでは定義できないほど色んな実験が重ねられたアルバムです。ギターとシンス、声そして様々なサンプルが不安定に漂い、それでも何らかの規則を作ってその場を圧倒させる力を持つ、奇妙で感動的な音楽を持っています。歌に漂う小さなノイズたちが集まって大きいエネルギーに変わっていくその瞬間はまさに圧倒的です。

 

候補群

  • Jang Pil Soon 『soony eight : so gil hwa』
  • Kim Hae Won 『Sea and Myself』
  • Kim Sawol 『Romance』
  • Kang Asol 『The Day Of Love』

 

 

BEST R&B ALBUM

 

Naul Sound Doctrine

 

 

韓国を代表するR&B/Soul歌手ナオル(Naul)の本作にはソウル(Soul)の精髄を取り入れた濃い味の曲でいっぱいです。強いソウルの香りがするプロダクションの上で、韓国最高のボーカリストと呼ばれるナオルの解釈は常に驚きの連続です。ファンク、バラード、ゴスペルなどを詰め込み、ナオル自身のクリスチャンとしての信仰を示した言語はアルバムとしての統一性まで付与し、完成度を高めました。

 

候補群

  • Hippy was Gypsy 『Empty Hands』
  • Jclef 『flaw, flaw』
  • SUMIN 『Your Home』
  • Hippy was Gypsy 『Language』

 

 

BEST HIPHOP ALBUM

 

XXX LANGUAGE

 

 

プロデューサーFRNKの予測不能なインダストリアルビートとKim Ximyaの実力のあるラップが、この音盤が持つすべてのアイロニーを支えてくれます。主流を拒否する音楽的「形式」の中で、主流に受け入れられない現実に対する怒りを示す「内容」を詰めて、さらにそれを「形式」の中で無慈悲に捻った当惑な音楽です。典型的な成功神話をぶち壊し、外部と内部の矛盾をずっと告発する話者の混乱、そしてその心理をもっと混乱に描く最上級のビートパフォーマンスは、韓国だけでなく世界でも真新しい音楽ではないかと思います。

 

候補群

  • Bassagong 『TANG-A』
  • FANA 『FANAbyss』
  • JUSTHIS & Paloalto 『4 the Youth』
  • Kid Milli 『AI, THE PLAYLIST』

 

 

BEST ELECTRONIC ALBUM

 

KIRARA Sarah

 

 

KIRARAの音楽は綺麗で強いです。僕らを躍らせるビートに潜んだ感情のベースは悲哀と怒りです。なのでビック・ビートを中心としたパーカッションは何かを壊しにかかる感じですが、その上を包むコードとメロディーは繊細で美しく、楽しさを与えてくれます。ロマンティック性から攻撃性まで、僕らの感情の本能を刺激するKIRARAの電子音遊びは、僕らを心配(「Worries」)し、一緒にのぞみ(「Wish」)、雨の中でも踊って(「Rain Dance」)、この場所に居続ける(「Stay」)勇気を与えてくれます。

 

候補群

  • Byul.org 『Nobody’s Gold』
  • Dongchan 『Fog』
  • YESEO 『Damn Rules』
  • Aseul 『ASOBI』

 

 

BEST JAZZ ALBUM

 

Jungsu Choi Tiny Orkester Tschuss Jazz Era

 

 

ジャズを全然知らない筆者ですが、KMA(韓国大衆音楽賞)ノミネートの短評に書かれた「完全な韓国のビッグバンド」という言葉一つを基に鑑賞しました。にもかかわらずこのアルバムに感動した理由は、ジャズ界の最高クラシック『Kind of Blue』が連想されたからでしょうか。僕がジャズを聴くときに求める、即興性と協奏のシナジー効果が伝わってきました。

 

候補群

  • Nam Yoosun 『Strange, But Beautiful You』
  • Youngjoo Song 『Late Fall』
  • Sunji Lee 『SONG OF APRIL』
  • Seo Sujin 『Strange Liberation』

 

 

BEST WORLD/CROSSOVER ALBUM

 

AASSA Tres BonBon

 

 

「生の!」「生き生きした!」「土俗な!」としか言い表せられないのですが、それだけで何ですか。即興的なジャム合奏がアフロミュージックの楽器と共に調和する瞬間にただ驚くだけのことです。韓国語と西アフリカの言語でできた歌詞は理解に難しいかもしれませんが、リズムとメロディーからその悲哀のこもった楽しさは十分伝わってこないでしょうか。

 

 

候補群

  • Park Jiha 『Philos』
  • Near East Quartet 『Near East Quartet』
  • Dongyang Gozupa 『Gap』
  • Hyunpil Shin, Heean Ko 『Dear Chopin』

 

 

 

 

MEDIA/PRODUCTION FIELDS

 

 

BEST MUSIC VIDEO

 

BTS FAKE LOVE

 

候補群

  • Sultan of the Disco 「Tong Bae Kwon」
  • DEAN 「instagram」
  • (G)I-DLE 「LATATA」
  • Dark Mirror Ov Tragedy 「I Am The Lord Ov Shadows」
  • Balming Tiger 「I’m Sick」
  • Kiha & The Faces 「Cho Shim」
  • Mommy Son 「Mommy Jump (feat. Bae Ki Sung)」

 

 

PRODUCER OF THE YEAR

 

バン・シヒョク(BTS『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』『LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’』など)

 

 

 

 

候補群

  • Jflow(Hippy was Gypsy『Language』『Empty Hands』、JJANGYOU『KOKI7』など)
  • SUMIN(SUMIN『Your Home』など)
  • Kenzie(Red Velvet『The Perfect Red Velvet』『RBB』など)
  • FRNK(XXX『LANGUAGE』など)

 

 

 

 

GENERAL FIELDS

 

 

BEST NEW ARTISTS

 

Jclef

 

 

女性ヒップホップ・R&Bのボーカリスト及びラッパーであるJcelfは『flaw, flaw』という音盤の題名ごとく内面の欠落を直視しながら、自分の弱さを受け入れる過程を文学的に昇華した完成度の高いアルバムを出して批評界とマニア層の注目を集めました。内面の欠陥をある目標に到達できないことから生み出すと悟り、世が与えた目標そのものの虚無性を告発することで自分自身を受け入れるという、時代精神の真っ最中にある思想を深く考察し、ラップとボーカルの境界を無色にするパフォーマンスと共に自分の言語で語り掛ける、突然の発見です。

 

 

候補群

  • Wussami
  • Jvcki Wai
  • AIRY
  • Motte

 

 

RECORD OF THE YEAR

 

XXX Ganju Gok

 

 

オーケストリアルなセッションで華麗なイントロから、すべてを壊してエレトリックなインダストリアルサウンドに転換し、より力動的な展開になります。その後どんどん変奏していくビートパフォーマンスに身をゆだねると、いつの間にか最小限のサンプルだけ残り、Kim Ximyaの嘲笑的なラップが入ります。「韓国は俺の音楽が嫌いだ。それは誰のせいでもないけど、実は知ってんだよ、俺の退屈な歌が原因だから」と、彼の両価的感情がこもった強いラインは、市場に対する疑問が当てのない怒りに変わっていくアルバムの筋において本当に「間奏曲」としての役割を果たします。華麗でありながらもコンパクトな構成で調和を成し遂げたトラックで、2018年の韓国ヒップホップで一番素晴らしいプロダクションだと確信します。

(注:「Ganju Gok」は「間奏曲」という意味の韓国語の発音をそのままローマ字に表した題です。)

 

 

候補群

  • Asian Chairshot 「Round and Round」
  • BTS 「Airplane pt.2」
  • SUMIN 「In Your Home (feat. Xin Seha)」
  • Kiha & The Faces 「That’s Just What You Think」
  • Byul.org 「Bats We Are」
  • ADOY 「Blanc (feat. George)」
  • (G)I-DLE 「LATATA」

 

 

SONG OF THE YEAR

 

DEAN instagram

 

 

PBR&Bジャンルの空虚感のあるプロダクションの上でK-POP特有のキャッチな旋律がよく混じり合い、彼独特のアイデンティティーを作り出す歌です。シンガーソングライターのDEANが考察するInstagramは、現実の傷や虚無感から脱出する術でありながら、同時にフィードから流れ込む圧倒的な情報量に溺れ、彼と住む世界の違う人たちの様子がフラットに映し出され、その比較からさらに不幸な感情に陥ってしまうものです。人間関係がインスタの「いいね!」によって決まる「情報化時代」はすでに来ていて、話者は現実からも仮想からも苦しみ続けます。その無力な憂鬱さは、我々も共感のできる、まさに「情報化時代」の集団的副作用ではないでしょうか。

 

候補群

  • XXX 「18G 1517」
  • KIRARA 「Worries」
  • Lee Jin Ah 「RUN (with GRAY)」
  • Decadent 「Tomato Homicide」
  • Jvcki Wai 「Enchanted Propaganda」
  • Sultan of the Disco 「Hide Out」
  • BTS 「IDOL」
  • Mommy Son 「Mommy Jump (feat. Bae Ki Sung)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ALBUM OF THE YEAR

 

 

空中泥棒 『Crumbling

 

 

得体の知れないアーティストが何のプロモーションもせずに突然アルバムを出しました。音質は悪く、歌詞は聞こえない。一応フォークとは書いたものの、ジャンルも全然わからなく、実に奇妙。かといってアヴァンギャルドな不気味性があるかと言うと、むしろそれに比べたらポップとも呼べるくらい聴きやすい。弱く響く音たちが巧妙に重なり合い、「圧倒的な瞬間」(ナ・ウォンヨン氏のレビューから引用)を築いて行きます。なのに、題名は逆説的に『Crumbling』。「崩れ」でも、「崩し」でもない、「崩れる様子を能動的に表した名詞形」の題名。
では、いったい何が「レッツ崩壊!」しているのでしょうか。時間に沿って繰り返されるべき音の展開の裏切りかも知れません。今作に来てようやく公開した歌詞で歌われる世界の崩壊をそのまま指すのかも知れないです。
崩壊といえば、時々出てきて展開を転覆させるノイズを思い出させます。この作品のノイズはシューゲーズやノイズポップのような、極端なディストーションから出てくるものとは違う。(もちろんディストーションがないと言うわけではないですが。)そのノイズの正体は、色々な楽器、声、騒音など、先から薄いけどずっと少しずつ時間を構成してきた音たちがついに一箇所に集まって何かを「築いた」その時に、ノイズとしてその時間を「崩壊」させるのです。
老婆心に言っておくと、これは全く過激な作品ではありません。気楽に聴けるサウンドでできたアルバムです。それに、今までこの作品についてずっと否定語で定義してきましたが、だからといってなにかのアンチテーゼで作られた実験目的の作品でもないです。そこにはただ音の遊戯があって、韓国語がわからなくても構わない。人間の声は音楽を構成する一部に過ぎないので。(韓国人のぼくでさえも歌詞を理解しながら聴くことは不可能です。)しかも、キャッチーで楽しい。
いかに緻密なのでしょう。騒音を不規則に交え、ジャンルを計り知れず、構成の規則を破壊しながらも、郷愁のようなものまで起こしうる、研究しがいのある不思議な美しさです。

 

候補群

  • XXX 『LANGUAGE』
  • Dark Mirror Ov Tragedy 『THE LORD OV SHADOWS』
  • KIRARA 『Sarah』
  • Asian Chairshot 『IGNITE』
  • SUMIN 『Your Home』
  • BTS 『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』
  • Near East Quartet 『Near East Quartet』

 

 

 

 

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付録

 

勝手に決めてみた 2018年度 BEST KOREAN ALBUMS 50!

 

 

なんでこいつはいつも順位ばっか決めてるんだ?!と思っているそこのあなた!

 

ズバリです。

 

まあ、ただ単に面白くて並べて見ただけですし、自分が聴いたほんのちょっとのプールから全部リストに突っ込んでみた感じです…。上のグラミー賞気取りの記事も、このリストから決めてみたものです。

 

とにかく、K-POPに関心がある方に、「これは聞いてほしい!」リスト50位を発表していきたいと思います。

 

 

50. OH MY GIRL 『Secret Garden』(Pop)

49. ADOY 『LOVE』(Pop)

48. (G)I-DLE 『I am』(Pop)

47. HYUKOH 『24:How to find true love and happiness』(Rock)

46. Galaxy Express 『ELECTRIC JUNGLE』(Punk)

45. Samuel Seo 『UNITY』(R&B)

44. Hwaji 『WASD』(Hip-Hop)

43. Aseul 『ASOBI』(Electronic)

42. Kid Milli 『AI, THE PLAYLIST』(Hip-Hop)

41. jeebanoff 『Panorama』(R&B)

40. JUSTHIS & Paloalto 『4 the Youth』(Hip-Hop)

39. ムン・ジョンフ 『大航海時代』(Pop)

38. JJANGYOU 『KOKI7』(Hip-Hop)

37. Dongyang Gozupa 『Gap』(Crossover)

36. イ・ムンセ 『BETWEEN US』(Pop)

35. Plugged Classic 『Sabai』(Metal)

34. Jvcki Wai 『Enchanted Propaganda』(Hip-Hop)

33. Kiha & The Faces 『mono』(Rock)

32. Moldy 『Internet KID』(Hip-Hop)

31. EGO FUNCTION ERROR 『EGO FUN SHOW』(Rock)

30. 柴雨林 『Jaurim, 10』(Rock)

29. Near East Quartet 『Near East Quartet』(Jazz)

28. Kim Sawol 『Romance』(Folk)

27. Sultan of the Disco 『Aliens』(Funk)

26. YESEO 『Damn Rules』(Electronic)

25. Say Sue Me 『Where We Were Together』(Rock)

24. SHINee 『’The Story Of Light’ Epilogue』(Pop)

23. Hippy was Gypsy 『Language』(R&B)

22. AASSA 『Tres BonBon』(Afro)

21. Hunger Noma 『Weird Tales』(Hip-Hop)

20. BTS 『LOVE YOURSELF 轉 ’Tear’』(Pop)

19. Park Jiha 『Philos』(Traditional)

18. Kim Hae Won 『Sea and Myself』(Folk)

17. Jang Pil Soon 『soony eight : so gil hwa』(Folk)

16. SUMIN 『Your Home』(R&B)

15. Lee Jin Ah 『Jinah Restaurent Full Course』(Pop)

14. FANA 『FANAbyss』(Hip-Hop)

13. Dongchan 『Fog』(Electronic)

12. Bassagong 『TANG-A』(Hip-Hop)

11. Jclef 『flaw, flaw』(R&B)

10. Hippy was Gypsy 『Empty Hands』(R&B)

09. Jungsu Choi Tiny Orkester 『Tschuss Jazz Era』(Jazz)

08. Decadent 『Decadent』(Rock)

07. Naul 『Sound Doctrine』(R&B)

06. Byul.org 『Nobody’s Gold』(Experimental)

05. Asian Chairshot 『IGNITE』(Rock)

04. KIRARA 『Sarah』(Electronic)

03. Dark Mirror Ov Tragedy 『THE LORD OV SHADOWS』(Metal)

02. XXX 『LANGUAGE』(Hip-Hop)

01. 空中泥棒 『Crumbling』(Folk)

 

 

50位リストのアルバムから一曲ずつ選んで作ったアップルミュージックのプレイリストです。

https://itunes.apple.com/jp/playlist/2018-best-korean-albums-50/pl.u-55D6Zq6u8l5e9o9

きわめて主観的な 2018年 ベスト 韓国ヒップホップ・トラック 50

お久しぶりです。来年徴兵予定の韓国留学生です。前回書いた2018上半期韓国ヒップホップトラック記事が反応が良かったとのことで、(別によくなくても書くつもりでしたが、)今度もさっさと今年全体の決算をしていきたいと思います。

勝手に聴いて勝手に選んで勝手に並べる今年度の韓国ヒップホップシーンの注目すべきトラック、今度はなんと50曲をいっせいに紹介!ところどころに特別企画「スペシャル・アワーズ:ひとりGRAMMY」もよろしく!(説明を省く曲もございますが、それは単純に僕の怠惰と知識不足のせいであり、みんないい曲です。ご了承ください。)

 

選考基準 : 99%の閃きと1%の努力 

 



 

 

50位

SUPERBEE, twlv – hunminjeongeum

Prod. Twlv

「フンミンジョンウム」は、韓国の文字のハングルの創製当時の名前です。本来の題名は「ガナダ」で、日本語で言う「いろは」、英語だと“ABC”みたいなものです。なぜかPlayboi Carti <Magnolia>サンプルの上で、ただただ「ガナダラマバサ!」(日本語だと多分「あかさたなはら!」の感じ)をラップするという、失笑せざるを得ないトラック。「最近の奴らは、なぜ歌に英語を混ぜとるんだ」と言った視線へのちょっとした皮肉です。

 

 

 

49位

Coogie – Coogie

Prod. P#000000

 

 

 

 

 

48位

Lil Cherry – Motorola (feat. Jito Mo)

Prod. sAewoo

 

 

 

 

47位

Balming Tiger – I’m Sick

Prod. No Identity

 

 

 

 

 

46位

Epik High x SEKAI NO OWARI – Sleeping Beauty

Prod. End of the World, Epik High, Rock Mafia

 

日韓の大衆性のあるチームが集まって、ソフトで悲しく美しい曲が出来上がりました。ちなみにEpik Highは、僕をヒップホップの道に、いや、音楽の道に連れ込んでくれたチームです。アニメでできたビデオもすごく美しいので、ぜひご覧を。

 

 

 

 

45位

HAON – NOAH (feat. Jay Park & Hoody)

Prod. GroovyRoom

 

 

 

 

44位

Futuristic Swaver – LONELY

Prod. Laptopboyboy (Futuristic Swaver)

 

現在コリアンアンダーグラウンドトラップシーンの最大のハッスラー、Futuristic Swaver(プロデューサー名Laptopboyboy)の最新アルバム収録曲です。強がりなswaggerと負け犬的劣等感が混じったおかしなキャラが彼なりの大胆なタッチとうまくあった、面白がっこいいトラップソングです。普通に自分が好きで選びました。あと、ビデオの日本語字幕はデタラメですのでご注意。

 

 

 

 

43位

Mild Beats – Grand Tiger Moth (feat. Chaboom)

Prod. Mild Beats

 

 

 

 

42位

Paloalto – Shelter (feat. ZENE THE ZILLA, Sway D, SUPERBEE)

Prod. Lnb

 

ベテランラッパーPaloaltoのサマーシーズンアルバム《Summer Grooves》の収録曲で、いろいろな新人の参加も特徴です。特に、最初のヴァースを担当するZENE THE ZILLAの、ネットのアンダーグラウンド愛好家のニックネームをシャウトアウトしたことで小さい話題にもなりました。

 

 

 

 

41位

BLOO – Downtown Baby

Prod. ROCK IT PRODUCTIONS

 

 

 

 

 

40位

CHANGMO – Holy God

Prod. CHANGMO

 

 

 

 

 

39位

Dakshood – GAME THEORY (feat. Tommy Strate, nafla, The Quiett, Kid Milli, Lil Cherry)

Prod. Dakshood

 

 

 

 

 

38位

Sway D – Color Gang (feat. Young Thugs Club & Woodie Gochild)

Prod. Sway D

 

 

 

 

 

37位

YunB – Clockwork (feat. EK, Khundi Panda)

Prod. YunB

 

ニューヨークから来たシンイングラップ中心のラッパー・プロデューサーYunBの初のフルアルバムに収録された曲です。無限的なトラップビートの上で、三人の新鋭たちが短くともインパクトのあるヴァースを投げ出していく曲です。参加した三人YunB、EK、Khundi Panda全員のこれからのキャリアが楽しみです。

 

 

 

 

36位

Jay Park – SEXY 4 EVA

Prod. Cha Cha Malone

 

韓国のスターJay Parkが、Jay-Zが頭にいるRoc Nationと契約し、初めて出したEP《Ask Bout Me》の収録曲です。「年齢・人種・身体条件を問わずに誰もがセクシーだ」というメッセージのビデオが印象的です。

 

 

 

 

35位

The Quiett – gui gam (feat. ZENE THE ZILLA)

Prod. Eddy Pauer

 

シーンのベテランラッパーThe Quiettのアルバムに参加した嬉しさが新鋭ラッパーZENE THE ZILLAのヴァースとサビで表れます。題名は憧れのモデルを意味する「亀鑑」という言葉の韓国語発音で、The Quiettが自分の憧れだったこと、そしてこれから自分がその憧れになっていくことについて楽しく語る感動的なトラップソングです。Eddy Pauerの可愛くピカピカするトラック、ZENE THE ZILLAの生き生きしたパフォーマンスとThe Quiettの余裕のあるパフォーマンスに注目!

 

 

 

 

34位

B-Free – CITY OF SEOUL

Prod. NoName, freefromseoul(B-Free)

 

以前、BTSを公開的にディスったことがあって、彼のほぼすべての映像は「悪い」表示が多いのですが、韓国ヒップホップで優れたバイブを披露する逸材です。特に彼のトラックメーキング能力がすごいことは、まあ直接聞いていただくとうれしい(笑)。

 

 

 

 

33位

Loopy – Save (feat. Paloalto)

Prod. CODE KUNST

 

独特なムードのラップメーキングを見せるラッパーLoopyと、同じく独特なムードのビートメーキングが特技のCODE KUNSTはラップオーディション番組で同じチームとして活躍し、話題になりました。そのチールなバイブが多くの大衆に好かれています。

 

 

 

 

32位

Ja Mezz – 錬金術 (feat. Dok2, MINO)

Prod. Bangroz

 

 

 

 

31位

Kid Milli – MOMM (feat. JUSTHIS)

Prod. CODE KUNST

 

 

 

 

 

30位

Leesuho – We Make Noise, Not Music (feat. Kid Milli)

Prod. Leesuho, Hipincase

 

Leesuhoは実験性の高いトラックメーキングが特徴のプロデューサー及び映像ディレクターです。予想のつかぬ曲とともに、奇妙でグロテスクな映像も要注意。

 

 

 

 

29位

250 – Rear Window

Prod. 250

 

プロデューサー250のインストゥルメンタル曲です。20世紀、韓国の民衆を躍らせたトロット(日本の演歌に近いジャンル)に現れる独特の情緒を研究しながらダンス音楽に取り入れようとするプロデューサーで、この曲もその研究の中間発表みたいな感じがします。そのバイブの下で写される、悲しい欲情をメタフォしつつも赤裸々に表現した映像もチェック!

 

 

 

 

28位

TakeOne – Bloom

Prod. Pleyn, Dakshood

 

「一人の女性について話したい。顔だけでなく心が一番きれいな、あなたのような女をまた会えるのなら、僕ももう一度息子として生まれたい」

以前の上半期決算の記事でデモ曲として取り上げた曲で、その後完成版が出ました。

 

 

 

 

27位

HAON – Boong-Boong (feat. Sik-K)

Prod. GroovyRoom

 

 

 

 

26位

NO:EL – Parrot (feat. GIRIBOY, Han Yo Han)

Prod. Suwoncityboy

 

現在高校生の現役ラッパーNO:ELに対する評価が高い理由は、これを聴いただけでもすぐにわかると思います。ちなみにこれは、彼の「セカンド」フルアルバムの曲です…。既に完成型に近く、これからの活躍も期待される少年は、この曲で自分をアイドル視して型にハメようとする、また自分を知らずにただただ嫉妬やルーマーの悪口をつぶやく、色々な存在に対して、怒りを爆発させています。Han Yo Hanの気がせいせいするシャウティング・フックも見所です。

 

 

 

 

 

 

 

半分来たところで特別企画…!

 

 

 

 

 

 

スペシャル・アワーズ#1

 

BEST PRODUCER OF 2018

Jflow

 

今年はやたらとプロデューサーたちの活躍が印象的でした。紹介したいプロデューサーたちがいっぱいいる中で悩みましたが、やはり優勝(?)はこの方、ヒップホップチーム“Wavisabiroom”のラッパーでありながら同時にR&B/Soulチーム”Hippy was Gipsy”のプロデューサー、Jflowです。

自然なソースと曲構成で余韻を残し韓国的なムードを作り上げていく、独創性と完成度を同時に担保するプロデューサー。それに、今年だけで“Hippy was Gipsy”のアルバムを二枚と、彼が全曲プロデュースしたラッパーJJANGYOUのアルバムなど、作業量の面でも優位を取り、それらのアルバムすべてがクオリティの高いというすごさ。それらの点を踏まえて、今年を代表するプロデューサーに堂々と勝手に任命しちゃいます(笑)。

 

 

すごく惜しい候補

FRNK:エレトリック・ヒップホップチーム“XXX”のプロデューサーで、たぶん現在韓国ヒップホッププロデューサーの中で一番すばらしいビート・パフォーマンスを見せる人。

 

その他の候補群

GIRIBOY, Coa white, Code Kunst, Dakshood, IOAH, Eddy Pauer,Leesuho, Laptopboyboy, HD Beatz, Nerdy coke, etc…

 

 

 

 

 

 

 

 

25位

pH-1, Kid Milli, Loopy – Good Day (feat. Paloalto)

Prod. CODE KUNST

ラップオーディション番組『SMTM』シーズン7の一番の人気曲です。余裕のある独特なバイブを持ったCODE KUNSTのビート、Paloaltoのサビ、参加陣の話題性と優れたパフォーマンスなどが大衆の心を刺激しました。

 

 

 

 

24位

areyouchildish (OLNL X Cosmic Boy) – merry go round

Prod. Cosmic Boy

 

独特なトーンで子供感性の爽やかなシンイングラップが特徴のOLNLと、彼とよく合作するフューチャーベース専門のプロデューサーCosmic Boyのプロジェクトチーム『areyouchildish』のリードシングルです。言い訳をしながら子供たちを同じところで回してだます大人たちを「メリーゴーラウンド」に比喩したのが特徴です。

 

 

 

 

23位

Jay Park – Finish Line (feat. Jvcki Wai, SUPERBEE)

Prod. Cha Cha Malone

 

 

 

 

22位

OLNL – SWEET (feat. Samuel Seo)

Prod. dnss

 

彼の音色は聞いたらすぐわかるくらい独特なシンイングラッパーです。そして、主な音楽のテーマは「子供の視線から見た世界」です。〈SWEET〉という題名をつけて最初のヴァースに出てくる「飴を食べすぎて歯が痛いよ」という歌詞を聴いたとき、感嘆しました。あと、フィーチャリングのSamuel Seoも本当に独創的で優れたHip-Hop/R&B歌手・プロデューサーです。

 

 

 

 

21位

SUPERBEE – SUPERBEEWHY (feat. BewhY)

Prod. Truthislonely (BewhY), CHANGMO

 

ラップオーディション番組『SMTM』シーズン7の参加者SUPERBEEと、シーズン5の優勝者でレジェンドになっているBewhYの曲。二人とも華やかなラップスキルで注目されたのですが、特にこれを持ってBewhYは、彼のプロデューシング能力も再評価されそうです。圧倒的なラップ、そのバックにもっと圧倒的なプロダクションを、ぜひ楽しみなされ。

 

 

 

 

20位

JUSTHIS & Paloalto – Switch

Prod. Yosi

 

若いインディペンデントアーティストのJUSTHIS(現在はIndigo Musicレーベルに所属してます)と、キャリアを積んだベテランラッパーでありながらHI-LITEレーベル代表のPaloaltoが、各自の立場や視線、その立場のせいで混乱する状況について、優れたラップで語り合う曲です。

 

 

 

 

19位

Swings – Shit Is Real (feat. The Quiett, GIRIBOY, Kid Milli)

Prod. IOAH

 

意外と象徴的な曲です。「ヒップホップをアップグレードさせてきた者が、今度は自分をアップグレードさせる」というテーマで発売されたアルバム《Upgrade III》で、今までの仲間、これからの仲間とともに勝利を宣言するトラックです。新鋭プロデューサーIOAHのマイルドなビートの上で、ベテランの勝利の証明と、新鋭の野望あるヴァースを聴いてみてください。特にKid Milliのヴァースが伝説並みということもあって持ってきました。Swingsの「ヒップホップだけじゃなく文化を変えたさ」の歌詞が印象的です。誇張じゃなく、リアルなので。

 

 

 

 

18位

JUSTHIS, Kid Milli, Young B, NO:EL – IndiGO

Prod. BRLLNT

 

去年新生のレーベルで、今年最大の成果を出しているIndigo Musicのコンピレーションアルバム収録曲です。4人のエネルギーとスキルの詰まったロウさが特徴で、徐々に話題になって、アイドルポップやバラードが主のチャートでどんどん順位が上がっている恐ろしい曲でもあります。すでに名盤を出したJUSTHIS、今年最高の活動量を見せるKid Milli、高校生とは思えない実力のNO:ELとYoung B(こっちは今年卒業)まで集まった、存在がチートな曲だとも謳われます。

 

 

 

 

17位

Moldy – GodDy

Prod. Black AC

オルタナティブヒップホップを目指すラッパーMoldyの注目のEP《Internet KID》の収録曲です。テクノロジー・ネイティブ世代にふさわしい代案的なswaggerを求め、本能的なラッピングが一番人工的な題名の下で披露されるという、いろいろな解釈の余地のある曲です。というか、普通にラップもビートもすごいです。

 

 

 

 

16位

Keith Ape – The Ice Ape (feat. Chief Keef)

Prod. Oogie mane

 

〈It G Ma〉から三年。ついに出たKeith Apeのアルバム…!混迷で紛らわしく、呪術的にまで感じるこのローファイ・ハードコア・ヒップホップは韓国でも前例がない、注目すべき一作です。それにフィーチャリングがあのChief Keefだよ?マンブルの始祖、Chief Keefなんだよ?!

 

 

 

 

15位

Drunken Tiger – Timeless (feat. RM of BTS)

Prod. Loptimist

 

Drunken Tigerについて申しますと、まさに韓国ヒップホップの始祖となる方。今回がこの名義で出す最後のアルバムになるといい、プロデューサーLoptomistのオールドでハイクォリティなトラックとともにカムバックしました。そこに、今、劇的に浮上中のアイドルBTSのラッパーの参加は結構象徴的です。20年もの昔、アメリカからヒップホップを持ち込んできたDrunken Tigerと、現在、その産物の上で生まれたポップを再輸出しているBTSの出会い。色々と象徴の詰まっていて、(BTSのファンダム力ではあるものの)米iTunesヒップホップチャートで1位を取ったりすることも。

 

 

 

 

14位

Hwaji – NAPPE

Prod. Young Soul, O’NUT

自ら「現代ヒッピー」と名乗る、韓国トップレベルのリリシスト、Hwajiは、新しいEP《WASD》で、シーンをゲームに比喩して、論争や二分法に巻き込まれずただ状況を見守る観照的な態度を取ります。どれだけメッセージが詰まっても、説教的ではなく、むしろファンキーでレイバックされたグルーびーなビートのおかげで、本当にゲームをするように楽しみながら聞けます。

 

 

 

 

13位

GIRIBOY, Swings, Kid Milli, NO:EL – flex

Prod. GIRIBOY

YouTube音楽コンテンツDingoとレーベルIndigo Musicの合作で、フレッシュでキャッチ―なサビとビート、ラップが特徴の楽しい曲です。チャートの1桁順位まで上がったことで、インターネットコンテンツの威力を実感させつつ、「服」「ファッション」について語るユニークな中毒性のある曲です。最初は「なんだこのうざい曲は」と思ってましたが、この記事書く途中ではまっちゃいました。

 

 

 

 

 

12位

Dakshood – Money Man (feat. Ja Mezz, Hash Swan, Bill Stax)

Prod. Dakshood

 

プロデューサーDakshoodは古典的なサンプリング技法でトレンディーなトラップナンバーまでも作ってしまう、非常に優れたプロデューサーです。そんな彼の堅固で可変的な、中毒性のある素晴らしいプロダクションに、よく協業しあうラッパーJa Mezzのさらに中毒的なサビ、Hash Swanの独特なトーンと自由に流れるフロー、ベテランラッパーBill Stax(旧VASCO)のトラップフローなどが合わさって、素晴らしい完成度のMoney Swagを作り上げました。

 

 

 

 

11位

BewhY & Crush – 0-100

Prod. Truthislonely(BewhY), Crush

 

オーディション番組で優勝し、スターになっていってるラッパーBewhYと、既にチャートキラーのヒップホップ・R&B歌手Crushがとある音楽放送で発表した曲です。なんと、トラップのビートに、「クリスチャンの信仰」をテーマを持って、(先のBewhY参加曲でも言った表現ですが)圧倒的なプロダクションとパフォーマンスを披露します。勇壮で大胆な演奏と、リミッターのないラップの協演を楽しみなされ。

 

 

 

 

 

 

ベスト10を残してまたまた特別企画

 

 

 

 

スペシャル・アワーズ#2

BEST NEW ARTIST OF 2018

Jclef

 

色々とユニークな新人が現れた年でもありましたが、その中で一番刮目してみるべき人物は、抜群の完成度を見せたデビューアルバム《flaw,flaw》の主人公、ラッパー及びシンガーソングライターのJclefでしょう。マイルドで安定感のあるボーカル・ラップのパフォーマンスと、その中で鋭い通札力を見せる歌詞、それをアルバムとして積み上げる能力はほぼベテランに準するほどです。

ヒップホップ、R&B、そしてフューチャーベースのバウンダリーまでも自然に乗り越え、彼女自身の音楽世界を早くも確立した、新たな吟遊詩人。

 

 

すごく惜しい候補

Uneducated Kid:ギミック中心のトラップミュージックが生み出してしまった怪人…。名前のごとく何も考えずただただF L E X I N ‘を歌う彼の馬鹿らしく中毒性のある異様なパフォーマンスをご覧あれ。

 

その他の候補群

ZENE THE ZILLA, Leesuho, Coa white, Paul Blanco, Leellamarz, BRADYSTREET, etc…

 

 

 

 

 

 

10位

JJANGYOU – NABI

Prod. Jflow

 

ラッパーJJANGYOUはチーム『Wavisabiroom』などでエネルギーが充満した感覚的でユニークなラップをする人です。曲のプロデューサーJflowは、同じく『Wavisabiroom』ではラッパーとして、そしてアジアンオルタナティブR&Bチーム『Hippy was Gipsy』でプロデューサーを務める人です。この曲が収録したJJANGYOUのセカンドアルバム《KOKI7》は、余韻を残して落ち着いたプロダクションが特徴のJflowと、エネルギーの詰まったJJANGYOUが、奇妙にうまく混じった優れた一作です。幼いころ家を出た母に対する愛憎をぶつけた、ユニークで美しい思慕曲です。ラッパーとプロデューサーの正反対の特徴がどちらも生かされたのが素晴らしいです。

 

 

 

 

9位

Uneducated Kid – Homeschooling

Prod. Eddy Pauer

 

独歩的なギミックを持つUneducated Kidの衝撃のデビュー曲。2分前後の短いタイムに、爽やかなメロディーと、それとミスマッチする、本土のバカげたトラップソングをそのまま翻訳したような歌詞など、衝撃を免れない登場でした。コピーキャット問題を逆手にとって自分のアイデンティティとした会心の一撃であり、本当に注目すべき今年の新鮮な発見。言いたいことはいろいろありますが、何よりも、ピンクのランドセル背負って明るい声で「昨夜俺は銃口を向けたぜ」とか言うんじゃねぇよ!

 

 

 

 

8位

Kid Milli – WHY DO FUCKBOIS HANG OUT ON THE NET

Prod. Leesuho

 

上半期の記事でも結構高い順位で紹介した曲ですが、僕が考える以上にこの曲が持つ意味はすごいです。本当に、韓国ヒップホップシーンのニュー・キングの到来を意味する、そのプロダクションからラッピングのスタイルまで真新しいルーキーの登場を知らせた曲なのです。今、実際に彼のファッションをまねるヒップスターたちも増えるなど、その影響力の根源として、この曲があったと言えます。

 

 

 

 

7位

Jclef – Before an Hour of Collapse

Prod. Coa white

素晴らしい作品《flaw, flaw》で突然現れた女性ラッパー・シンガーソングライターのJclefは、何よりもその安定的で余裕のあるパフォーマンス、深層的な歌詞でどんどん注目を浴びている新鋭です。この曲では〈地球滅亡一時間前〉という題材を用いて、内面の欠点をそのまま直視し受け入れる過程を淡々と描いています。

 

 

 

 

6位

Bassagong – HBD

Prod. Sultan of The Disco

「船乗り」という意味の名を持つ、レトロ感充満なラッパー「ベッサゴン」のセカンドアルバム《TANG-A》(「蕩児」という意味です)は、70-80年代韓国のサイキデリックロックサウンドをヒップホップの文法に合わせて作ったプロダクション、その上で貧しい音楽人の浪漫をウイットよく、時には正直に語る名作です。この曲では、やっと咲き始めたような状況を「ハッピーバースデー」と祝います。この祝いが続くことを願うばかりです。

ちなみに、この曲をプロデュースしたSultan Of The Discoは、レトロ・ブラックミュージックを基盤にしたユニークで優れたバンドです。こちらも最近アルバムが出て、逆にベッサゴンがフィーチャーリングした曲があるので、ぜひご必聴を…

 

 

 

 

 

 

5位

Jvcki Wai – Enchanted Propaganda

Prod. Eddy Pauer

 

新鋭女性ラッパーJvcki Waiの初のフルアルバムでは、彼女のアナーキスト・コンセプトがもっと進化しました。韓国第一のオートチューン使いで、その優れたローファイなプロダクションも誇るべきですが、彼女の語る世界観は想像を超えます。彼女の「プロパガンダ」に発揮されるものであり、その戦争の対象は現代社会のシステム、つまり資本主義の転覆を歌うという、恐ろしいテーマを持った、恐ろしく新鮮で、恐ろしい完成度のトラックです。

 

 

 

 

 

4位

E SENS – MTLA (feat. Masta Wu)

Prod. Decap, 250, FRNK

 

2015年、「韓国音楽史名盤100選」にも選ばれた傑作《The Anecdote》を収監中に出したE SENSが、今年ようやく新しいアルバムを出すそうです。今回出た余裕で少し寂しく聞こえるリードシングルは、ミニマルなエレクトロヒップホップの上で、韓国の資本主義に対する疑問を個人の視点で叙述して「LAへ去りたい。しかし去れない」と矛盾を見せる歌詞など、素晴らしいです。今後のアルバムがどのように展開され、この曲がどんな役割をするか、楽しみにしています。誇るべきラッパーでリリシストのE SENSは、アイロニックにもアメリカから入国禁止されているらしいです。

 

 

 

 

 

3位

FANA – Guiding Star

Prod. G-Slow

 

ラッパーFANAを一言で定義するならば、「ライム・モンスター」です。歌詞に韻を詰め合わせる能力はだれにも負けないワントップ。そして、シーンを掌握していくメディアに逆らい、自らの働きも見せたアーティスト。しかし、今年出たアルバムの題材は、パニック障害の闘病記でした。その障害に陥った状況を強迫的なライミングで、闇に包まれた歌詞と声で苦しく語ります。その中でこの曲は、そんな絶望の中で自分を導いてくれる星を求める、切迫だからこそ美しい曲です。

この曲が重要なもう一つの理由。元々これは彼のライブ専用曲でした。それが今更、「あまり残っていないライブファンの許可を得て出した」という寂しい背景、それでも彼の状況とぴったり合う、いろいろと意味のある曲です。

 

 

 

 

 

2位

XXX – Ganju Gok

Prod. FRNK、Echae Kang

エレトリックを基盤にした、ラッパーKim XimyaとプロデューサーFRNKで結成されたデュオXXX。FRNKのトラックメーキング能力はまさに世界に誇れるユニークさと完成度を保ち、その上でパフォーマンスするKim Ximyaのラップもトップレベルを占めています。彼らの最近出したアルバムはまさに革命的であり、特にこの曲のビートは今年の韓国ヒップホップで最高のビート・パフォーマンスを誇るであろうと自負します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ついに1位発表…!

 

 

 

 

 

 

 

…の前に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペシャル・アワーズ#3

BEST HIP-HOP ARTIST OF 2018

Kid Milli

 

はっきり言えます。「今年は彼の年だ!」と。独特なリズム感と皮肉な歌詞、トレンドの先を走るビートチョイスとファッションセンス。今年だけで3つの個人アルバムとレーベルのコンピレーションアルバム、数えきれないくらい大量のフィーチャーリング…。それに、ラップオーディション番組《Show Me The Money》に参加し3位を収めるなど、本当に爆発的な作業量とインパクトを見せました。去年やっとハイプを受けてから一年たたずでこのユニークさと実力、波及力はめっちゃ半端ないって。

 

 

 

すごく惜しい候補

Hippy was Gipsy:「アジアンオルタナティブ」というジャンル自体を開拓し、今年も良質のアルバムを二枚も出した、プロデューサーJflowとボーカリストSepで構成されたR&Bチーム。なぜ選べなかったかというと、ジャンルがヒップホップじゃないから…。(むしろなぜ選ぼうとしたかというと、ブラックミュージックだし、二人ともほかのところではラッパーをしていることもあって…。)

 

 

その他の候補群

どう考えてみても Kid Milliの存在感が強力すぎて、候補すらまとまらず…

まあ、それでも、名盤を出したXXXやBassagong、FANA、そしてアメリカ進出という快挙を果たしたJay ParkやKeith Apeなどをあげれると思います!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃあ、ついに1位発表…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1位

XXX – Sujak

Prod. FRNK

上位2曲を全部XXXにあげたのは単に僕がファンであるから…じゃないと堂々と言えるのがうれしい(笑)。ヒップホップよりエレトリックを基盤にしたサウンドソースをいっぱい取り入れてばらまけても安定感のあるビートメーキングに、その上で彼らの望む芸術と現実の乖離をすごく冷たい視線で歌うKim Ximyaの印象的なラップまで。そしてまた、そのラップのソースを使っていろいろな実験を行うことで、ジャンルのバウンダリーはもちろん、芸術における「形式」と「内容」の境界線までもこれで破ってしまった一作です。厭世的な歌詞と、疾走するビートがうまく合わさった、今年のヒップホップ最高の名曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、これで終わりじゃないぞ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

0位⁈

Mommy Son – Shonen Jump (feat. Bae Ki Sung)

Prod. Ye-Yo!

 

現在炎上中のネタ。この炎上の原因を挙げるともう複雑すぎるので、ざっくりだけ言っておくと、最近劣れ気味の人気ラッパーMad Clown「と推測される者(ココ大事)」がオーディション番組に「覆面」を被って登場したが派手に脱落し、その数日後に発表された、「悪党ども(審査委員陣)が俺を落とそうと、少年ジャンプの主人公のように立ち上がるぞ!」というメッセージを含んだ、現在最大の話題曲。よし、一文章で収めたぞ。(なぜか日本語字幕も支援します…)

ミームだらけのギャグソングとして捉えられますが、面白くつぶやいているアーティスト自身やシステムの矛盾性など、いろいろと解釈すべき価値を持ち、そこに多くの大衆が共感したという、今年を代表する断然なる一曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに終わりです。

読んでくれた皆さん、書いた俺、みんなお疲れさまでした…

 

 

 

その後も調子乗りすぎ兵役対象者の韓国留学生による

《2018 BEST KOREAN ALBUMS》

《近10年間、韓国大衆音楽で聴くべきアルバム》

などなどの記事… (maybe?) Coming Soon!

 

ユーミン配信開始記念!初めてのユーミン-中編-

どうも。3年の高野です。

 

9月24日、ユーミンこと松任谷由実の楽曲全424曲の配信が開始されました。10月8日付オリコン週間デジタルアルバムランキングでは、『日本の恋と、ユーミンと。』が初登場1位を獲得したのを始め、全20作品がTOP100にランクイン。何かと注目されているようです。

 

と言うことで今回も、ユーミン配信開始を記念しまして、ユーミンのオススメのアルバムをご紹介します。

このままユーミンの世界にどっぷりハマってしまいましょう。

 

【中級編】

 

14番目の月(1976年)

14番目の月 

 

活動期間はたったの4年ぽっちですが、何かと伝説の荒井由実時代。その間、4枚の名盤を世に送り出しました。

前回の初級編では1stアルバム『ひこうき雲』をご紹介しました。残るは『MISSLIM』、『COBALT HOUR』、『14番目の月』の3作品なのですが…。

 

つべこべ言わずに全部聴け!!!!!

 

中級者の貴方は、全作聴きましょう(笑)。とは言っても、全作紹介していると、それだけで中級編が終わってしまいそうなので、今日の気分で一番好きなアルバム『14番目の月』を取り上げようと思います。

 

 

荒井由実時代最後のアルバム。1stアルバム『ひこうき雲』は、天才少女の純粋な感性が光輝く、いい意味で初々しい作品でした。しかし『14番目の月』は、デビュー4年目にして既に「ユーミン・ブランド」を確立し、立派なミュージシャンへと成長したユーミンの職人魂が籠もった、技巧的な作品に仕上がっています。

前年、ユーミンがフォークグループのバンバンに提供した「『いちご白書』をもう一度」が大ヒット。続けてユーミン自身も、シングル「あの日にかえりたい」がチャート1位の大ヒットを記録しました。その為、予算的にも余裕があったのか、ストリングスやホーンセクションも充実し、これまで以上に厚みのあるサウンドになっています。

 

ユーミン流ポップスとも言うべき軽快なピアノのイントロから始まるM1「さざ波」と、アップテンポのタイトルチューンM2「14番目の月」で、華々しく幕開けです。

そして、M4の壮大なバラード「朝陽の中で微笑んで」に続くのは、あの伝説の名曲「中央フリーウェイ」!

 

「右に見える競馬場 左はビール工場」というフレーズはあまりにも有名です。元祖ドライブソングということで、ユーミンの代表曲に挙げられる楽曲ですが、個人的に、ユーミンに感謝したいぐらい大好きな曲です!こんな名曲を作ってくれてありがとう…。

ユーミンの歌詞は、情景が思い浮かびやすい、とよく言われます。「中央フリーウェイ」はまさにその筆頭。実は曲が進むにつれ、情景が微妙に変化しているんです。

時間は「黄昏がフロント・グラスを染めて広がる」→「町の灯が やがてまたたきだす」→「この道は まるで滑走路 夜空に続く」と変化し、場所は「調布基地を追い越し」→「右に見える競馬場 左はビール工場」へと変化しています。だけどその変化って、ほんの一瞬なんです。

「中央フリーウェイ」は、東京のスタジオから実家のある八王子へ向かう帰り道を、彼氏の松任谷正隆氏に車で送ってもらっているユーミン自身がモチーフの曲なのですが、だったら、思い切ってゴールの八王子まで曲にしてもよかったじゃないですか。だけどユーミンは、帰り道の中で、最も美しい時間、最も美しい景色、その一瞬の情景を曲にしたかったのだと思います。前編でもご紹介しましたが「永遠の一瞬論(私が勝手に名付けました)」なのでしょう。

また、ユーミンのどの曲にも言えることなのですが、直接的なメッセージ性も皆無なんです。だけど私たちは「中央道って、どんだけ美しいところなんだろう!?」と胸をふくらませるのです(実際大したことはないですがw)。メッセージ性のないことが、ユーミンからのメッセージなのかもしれません。

無駄が一切ない、名曲中の名曲だと思います。中央道を走る際はぜひBGMに。

 

「中央フリーウェイ」と並ぶぐらいの名曲が、『14番目の月』にはもう一曲収録されています。本作のラストを飾る「晩夏(ひとりの季節)」です。

夏の終わりの夕暮れの、あのなんとも言えない哀愁感が伝わってくる楽曲です。歌始まり直前のベース一音と冒頭「ゆく夏に〜」で、もうお察しです。それぐらい、世界観が緻密に作られているのです。

 

空色は水色に

茜は紅に 

(中略) 

藍色は群青に

薄暮は紫に

 

「空色」と「水色」、一体何が違うのでしょう。「茜」と「紅」も。その他の色も。ぜひ検索して、色の違いをご確認していただきたいのですが、ほとんど変わりません。だけどユーミンは、その一瞬の空の変化を見逃しませんでした。さすが、常人にはない感性の持ち主です!

 

 

せっかくなので、残りの2作も超ザックリ紹介しておきます。

 

 MISSLIM『MISSLIM(1974年)』

「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」「12月の雨」etc.収録。

「海を見ていた午後」の一節「ソーダ水の中を貨物船がとおる」は永遠に受け継がれる名フレーズ。

 

 

COBALT HOUR『COBALT HOUR (1975年)』

「卒業写真」「ルージュの伝言」「雨のステイション」etc.収録。

既にご存知の「ルージュの伝言」も耳を澄まして聴いてみると、間奏で「あれ?山下達郎じゃん。」と気がつく。ちなみに「ワッワッ!」とやっているのは大貫妙子と吉田美奈子。

 

4作すべてに、ほぼ全員が知っている楽曲が収録されています。すごい!これは全作聴かないとね!ちなみに、シングルヒット曲「あの日にかえりたい」と「翳りゆく部屋」は諸々のベストアルバムに収録されているのでご確認ください。

 

(14番目の月の)オススメの曲

「さざ波」「中央フリーウェイ」「グッド・ラック・アンド・グッドバイ」「晩夏(ひとりの季節)」 

 

 

流線形’80(1978年)

 流線形 '80

 

荒井由実時代の作品なんて、とっくに聴いてるわ!という方、結構いらっしゃると思います。ですが、それで満足していませんか?

 

甘いですよ!!!

 

松任谷由実時代の作品も荒井由実時代に負けず素晴らしいんです!34作もありますが、その中から厳選して3作品ご紹介します。

 

 

時代の一足先を行くユーミン。1980年代を見据えていたのでしょうか。発表は1978年ですが、タイトルは『流線形’80』です。

M1「ロッヂで待つクリスマス」、M3「真冬のサーファー」、M6「キャサリン」、M8「入江の午後3時」などのリゾート(っぽい)ソングも多数収録し、前編でご紹介した『SURF & SNOW(1980年)』のコンセプトの先駆けとも言えそうな作品です。ソースは明確ではないですが、確かSURF & SNOW構想はこの時点で既にあったはず。

 

M2はライブの定番でユーミンの代表曲「埠頭を渡る風」。ホーンセクションやストリングスが華麗に鳴り響き、疾走感のあるラテン・テイストの楽曲です。同年、ニューミュージック系女性シンガーソングライター・八神純子の「みずいろの雨」や、サザンオールスターズのデビュー作「勝手にシンドバッド」がヒット。この時期は、ラテン・テイストの楽曲が流行っていたのか、結構目立ちます。

M3は、「ん?山下達郎の曲か?」と勘違いしてしまうぐらいにタツロー・コーラスをフィーチャーした「真冬のサーファー」。ちなみにギターソロもタツローです。山下達郎は74年『MISSLIM』から79年『OLIVE』まで、レコーディングメンバーとして参加しています。「RIDE ON TIME」の大ヒットが80年ですから、メジャーアーティストの仲間入りする直前まで、裏方で活躍していたことがわかります。

M7は、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」などの作曲でお馴染み、来生たかおとのデュエット作「Corvett 1954」。

M9はどこまでもセンチメンタルな「かんらん車」です。静かに降る雪と、緩やかに動く観覧車。「静」と「動」の対比が本当に美しい楽曲です。アレンジも素晴らしい。ユーミンはポップな作品を歌っている印象が強いですが、「かんらん車」のように、中島みゆき並みに暗い楽曲が、意外と名曲だったりします。

 

オススメの曲

「埠頭を渡る風」「真冬のサーファー」「かんらん車」

 

 

REINCARNATION(1983年)

 REINCARNATION

 

松任谷姓になってから、荒井由実時代ほどのヒット作に恵まれなかったユーミン(普通にチャートトップ10には入っていますが)。しかし、1981年にシングル「守ってあげたい」が久々に大ヒット。第二次ユーミン・ブームの到来です。

 

そんな勢いに乗ったユーミンが1983年に発表したアルバムが、『REINCARNATION』です。

この頃のユーミン、「化け物」なんです(笑)。1983年で言うと、約10ヶ月後にはフルアルバム『VOYAGER』を発表。職業作家としても活躍していたユーミンは、松田聖子に「秘密の花園」と「瞳はダイヤモンド」を提供、原田知世に「時をかける少女」を提供しています。(東芝EMIの社畜かな。)

 

ユーミンは、時間やSFをテーマにした作品を数多く手がけています。本作『REINCARNATION』はその代表。名のごとく「輪廻転生」をテーマにした作品です。

 

宇宙空間にいるかのようなSEで始まるM1「REINCARNATION」。本作の軸とも言うべき楽曲だけあって、神秘的で壮大な楽曲…、かと思いきや、間奏や終奏でのギターソロが一際目を引く、ロック色の強い楽曲です。そう、本作のテーマは「輪廻転生」だけど、オカルティックな雰囲気は終始ありません。寧ろ、今まで以上にポップでロックテイストの強いアルバムなのです。

カットインで始まるM2「オールマイティー」やM6「ESPER」も、ユーミン流のポップなロックナンバーだし、M4「星空の誘惑」は、「続・埠頭を渡る風」とも言うべき、華やかなサウンドと疾走感のあるアップテンポな楽曲です。

M7「心のまま」もミディアムテンポながら、間奏やアウトロではメロディアスなギターソロがあります。

 

私の見た雲は 馬のかたち

あなた何に見えた

言葉にしてるまにちぎれてゆく

それは愛に似てる

 

ああ、なんて天才なんだ。大好きな歌詞です。

 

しかし、本作では唯一都会的な世界観のあるAOR調のM3「NIGHT WALKER」や、M8「ずっとそばに」、ラストを飾る「経る時」といったバラードも充実しています。とりわけ「経る時」は、ファンの間でも傑作だと名高い一曲。

「経る時」は「ふるとき」と読みます。桜の名所・千鳥ヶ淵沿いにあったホテルから臨む四季の風景を描いた楽曲です。4月ごとに開花する桜。空から舞い散る桜の花びらは、「薄紅の砂時計」の砂の如く、まるで時が「降ってくる」かのよう(だから「経(ふ)る時」なのです。)。このように、一年周期で咲いて散る桜も、一種の「輪廻転生」だと言えます。

歌詞に登場する「寂れたホテル」や「老夫婦」も、いずれは「輪廻転生」します。だけど、桜もホテルも老夫婦も、それぞれの「一生」の長さは違うんです。だから「輪廻転生」の周期もみんなバラバラ。この世界は、様々な時間が交差して成り立っている、ということを暗示する楽曲だと思います。

 

オススメの曲

「NIGHT WALKER」「星空の誘惑」「経る時」

 

 

ダイアモンドダストが消えぬまに(1987年)

 ダイアモンドダストが消えぬまに

 

いよいよバブル突入で、ユーミンの勢いも絶好調。全編にユーミンの楽曲が散りばめられた邦画『私をスキーに連れてって』も公開され、いよいよ第三次・ユーミンブームの到来です。そんな中発表されたアルバムが『ダイアモンドダストが消えぬまに』。本作、次作『Delight Slight Light KISS(1988年)』、次々作『LOVE WARS(1989年)』をあわせて「純愛三部作」と題し、「恋愛の教祖」というポジションを確立させました。当時は、フジテレビのトレンディードラマや、村上春樹の「ノルウェイの森」が大ヒットするなど、純愛ブームだったようです。

 

まさに、バブル期の東京の空気感を封じ込めたかのようなアルバム。例によって、シンセサイザー・シンクラヴィアのサウンドが時代を感じさせますが、このギラギラした華やかな電子サウンドは、ユーミンの漲る自信を体現しているかのようです。「恋愛の教祖」としての貫禄が感じられます。

 

タイプライターを打ちこむSEで始まるM1「月曜日のロボット」。OLの味方ユーミンが、都会で働く女性の月曜病を歌った楽曲です。

続くM2はタイトルチューン「ダイアモンドダストが消えぬまに」。ギターの軽快なカッティングが冴えるポップ・チューン。「シャンパンの泡」と「スキューバーダイビングの泡」を「ダイアモンドダスト」に例えたトリプルミーニング技は、まさに職人芸としか言いようがありません!

M4「SWEET DREAMS」は切ない恋の終わりを歌ったバラード。

 

この電話が最後かもしれない

他人事に思える 涙だけ溢れて

もう切るわと何度も云いながら

ひきのばすのは私の方

 

私たちのコミュニケーションツールはLINEやらTwitterやらのSNSで、時間を問わずいつ・どこでも連絡が取れる時代。しかしバブル当時は「固定電話」が主流です。時代を感じさせるシチュエーションですが、このいじらしさは今でも十分に通用しますね。

M7「SATURDAY NIGHT ZOMBIES」は、裏番組だった「8時だョ!全員集合」を打ち切りに追い込んだという伝説の番組「オレたちひょうきん族」のエンディング曲。ギロッポンのバーを舞台にしたバブル感満載の一曲です。

ここまで、ピコピコ電子サウンドの目立つ楽曲が続きましたが、ラストを飾る「霧雨で見えない」は、しっとりとした生サウンドで奏でる王道バラード。メロディアスなサキソフォンのソロが美しい。1984年に、ハイ・ファイ・セット他に提供した楽曲です。霧雨の特有の空気感や質感が伝わってきます。

 

ユーミン自身、本作『ダイアモンドダストが消えぬまに』はかなりお気に召しているようで、アルバムが完成した時、自身の才能に感動し、神棚に拝んだとか拝んでいないとか。俗社会にどっぷり浸かった作品ではありますが、軸は一切ブレていません。時代を反映させつつも、十分に普遍さもある非常に完成度の高い作品だと思います。

 

ちなみにCDジャケットは、ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターなどの渋谷系アーティストのアートワークにも携わった、信藤三雄氏によるもの。帽子を被り、自慢の美脚を見せつける11人のユーミンがズラッと並んだデザインは、ユーミンの勢いと迫力を感じさせます。

 

オススメの曲

「ダイアモンドダストが消えぬまに」「思い出に間にあいたくて」「LATE SUMMER LAKE」「霧雨で見えない」

 

 

前回、中級編と上級編をまとめてご紹介すると予告したのですが、中級編も結局長ったらしくなってしまったので、上級編は次回に回します(笑)。すみません。

中級レベルのアルバムはたくさんあります。80年代のアルバムはほぼ全て中級レベルと言えるでしょう。ですので、上記で紹介した作品以外でも、直感でピン!と来たアルバムがあれば、ぜひ聴いてみてください。

 

(文・ワセレコ3年 高野)

ユーミン配信開始記念!初めてのユーミン-前編-

こんにちは。

3年目にして初のブログ投稿となりました、3年の高野です。

2ヶ月後に引退を控え、ブログを書くことも無いまま、スッと身を引くのだろうと思っていたのですが、今回、どうしても書かなければならないニュースが飛び込んできました!

 

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24日にユーミンこと松任谷由実の楽曲全424曲のサブスクリプションが開始されました。

ユーミンは僕にとって、まさに“メサイア”!!小学5年生の時に彼女の楽曲に衝撃を受けて以来、楽しい時も辛い時も、僕のそばにはいつもユーミンの音楽がありました。

 

恐らく、ユーミンを知らない人はいないでしょう。46年に渡り音楽界のトップを走り続けてきたポップスの女王です。お母さんがよく聴いてる、とか、ジブリの曲ぐらいは知ってる、とか、ベストアルバムはレンタルした、とか。とにかく何らかの形で、あの一本調子で不安定なピッチの歌声を耳にしたことがあるはずです。

 

そんなユーミンがついにサブスク開始です。きっと、音楽好きなあなたは「ちょいと聴いてみようかな。」と思ったはずです。ですが次の瞬間、「で、どれ聴けばいいのよ。」と迷うのです。何せ、オリジナル38作、ベスト盤7作、カバーアルバム1作、シングル41作の計424曲ですから!

 

ということで、ユーミンの曲聴きたいけど、どれ聴けばいいの?と迷っている方のお役に少しでも立てるよう、独断と偏見でオススメのアルバムを厳選しました!!

これから、おためし、初級、中級、上級の4段階に分けて、ユーミンのアルバムを紹介します!

今日は、おためし編、初級編をお送りします。お付き合い下さい。

 

【おためし編】

 

日本の恋と、ユーミンと。(2013年)

日本の恋と、ユーミンと。 [Disc 1]

 

CDが売れなくなった昨今で、ミリオンセラーを記録したオールタイム・ベストアルバム。

「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」「ルージュの伝言」「恋人がサンタクロース」「春よ、来い」などなど、99%の人が聴いたことのあるはずの曲が全部網羅されている最強のアルバムです。カバー1曲を含む全46曲収録。ユーミンの曲をちゃんと聴いたことの無い方や、有名な曲ぐらいは抑えておきたい方にオススメです。

サブスクだとわかりにくいですが、CDは3枚組で構成されています。年代順で収録されていないので、どういう目安で収録曲を3グループに分類したかはわかりません。ただ、個人的な印象としては、

Disk1「やさしさに包まれたなら」〜「A HAPPY NEW YEAR」:ヒット曲を多く収録。

Disk2「真珠のピアス」〜「水の影」:派手さはないが、個人的に「ユーミンらしさ」の感じられる楽曲を収録。

Disk3「リフレインが叫んでる」〜「青い影」:そのままセットリストになってもおかしくないライブの定番曲を収録。

と、いった感じです。きっと曲順や分類にもこだわっているはずなので、Disk1、2、3を意識して聴いてみましょう。

 

ユーミンからの、恋のうた。[DISC 1] Pure Eyes

ちなみに今年春には、続編として「ユーミンからの、恋のうた。」が発売されました。こちらはユーミン本人が聞いてもらいたいと思う45曲がセレクトされ、その殆どがアルバム曲という、ファンも驚くマニアックな内容になっています。

 

 

おためし編ということでベストアルバムを紹介しましたが、正直、ファンの私としては、ベストアルバムだけで終わって満足してほしくないのです!

確かに「日本の恋と、ユーミンと。」と「ユーミンからの、恋のうた。」の2枚だけで、91曲も聴くことになるのですから、もうお腹いっぱいだと思います。

 

だけど、残り333曲ありますので!!お疲れ様です…。

 

ユーミンは自他共に認めるアルバムアーティストです。46年のキャリアの中で38枚ものオリジナルアルバムを世に送り出しました。その為コアなファンになると、「好きな曲って何?」ではなく「好きなアルバムって何?」という会話になってしまいます。

話は若干外れましたが、とにかく、ユーミンはオリジナルアルバムを聴いてナンボなのです!ですので、ベストアルバムを聴いてみて割とユーミンに興味を持った方は、さっさとオリジナルアルバムに手を出しましょう!

 

 

【初級編】

オリジナルアルバムを聴こう!とは言っても、38枚もあります。正直なところ、大体傑作なのでどれを聴いていただいても構わないのですが、とりあえず、ユーミンを語る上で抑えておきたいオリジナルアルバム3枚を厳選しました。

 

 

ひこうき雲(1973年)

ひこうき雲

 

邦楽好きの方なら聴いておくべきアルバムってあると思います。はっぴいえんどの「風街ろまん」とか井上陽水の「氷の世界」とか宇多田ヒカルの「First Love」とか。このアルバムもそんな1枚ではないかと思います。

ユーミンの記念すべきデビューアルバム。ジャパニーズポップスの歴史はこのアルバムから始まった、と言っても過言ではありません。ピアノを基調としたサウンドも、セブンスコードの多用も、感情を込めない無機質な歌声も、歌謡曲、演歌、フォークソングが主流である当時の音楽シーンにおいて、全てが斬新でした。バックを飾るのは、細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆による伝説のバンド「キャラメル・ママ(後のティン・パン・アレー)」です。

 

M1はタイトルチューン「ひこうき雲」。夭折した旧友を思い、書いたそうです。ユーミン曰く、日本で初めてカノン進行を取り入れた曲だとか。「死」を悲観せず、むしろ「しあわせ」だと捉えた感性は、「死」とは無縁である10代の少女だったから書けた曲だと思うのです。因みに2013年発表の『POP CLASSICO』に収録された「シャンソン」という曲では、逆に「生きる喜び」を歌っています。10代の歌う「死」と、60歳の歌う「生」、比較して聴くと面白いです。

M8は、ユーミンが一番好きだとかいう「雨の街を」です。その歌詞の一節、「夜明けの雨はミルク色」、「夜明けの空はブドウ色」。「白色」、「紫色」ではないんです。あくまでも「ミルク色」「ブドウ色」。抽象的な表現である故に、我々リスナーは「え、どんな色なんだろう?」と、想像力を掻き立ててしまいます。まさに美大出身のユーミンだからできる、粋なはからいなのです。

 

シティ・ポップがリバイバルしている昨今、この機会にぜひ元祖シティ・ポップも聴いてみましょう。45年前の作品とは思えぬほど古びないサウンドに、きっと驚くはずです!

 

個人的にオススメの曲

「曇り空」「雨の街を」「紙ヒコーキ」

 

 

SURF&SNOW(1980年)

SURF & SNOW

 

80年代、大滝詠一(A LONG VACATION、81年)、山下達郎(FOR YOU、82年)、杏里(Heaven Beach、82年)などの多くのシティ・ポップ系アーティストが、夏のリゾートをテーマにしたアルバムを発表しました。ユーミンも彼らに先駆け、リゾートアルバム『SURF&SNOW』を発表。

しかしユーミンは、アルバムのタイトルからもお分かりの通り、「夏」のリゾートにとどまらず、「冬」のリゾートにも注目しました。2つの季節を織り交ぜた斬新なコンセプトであることから、数あるリゾートアルバムの中でも異彩を放つ作品です。

 

特筆すべきは、何たってクリスマスソングの定番「恋人がサンタクロース」が収録されていること。実はシングル曲ではありません。今でこそ、クリスマスは恋人と一夜を共にするのが当たり前(?)のようですが、発表当初は、まだ家族と一緒に過ごすものでした。an・anが初めてクリスマス特集を組んだのが83年ですから、ユーミンの時代を先取る力はファッション雑誌以上だったわけです。

リゾートがテーマということで、陽気でキャッチーな楽曲が多く収録されていますが、ラスト2曲のバラードで泣かせにかかるあたりが、ユーミンのズルいところです。岡田眞澄とのデュエットソング、M9の「恋人と来ないで」は切なくて本当に泣ける(語彙力の無さ)。

 

本作はロングヒットを記録し、発表から7年後には、バブルを代表する邦画『私をスキーに連れてって』の主題歌・挿入歌に、「サーフ天国、スキー天国」と「恋人がサンタクロース」が起用されました。

またユーミンは、本作を体現したかのようなリゾートコンサート「SURF&SNOW」を、夏は逗子マリーナ(83~04年)で、冬は苗場プリンスホテル(81年~)で開催しています。

 

発表当初は、時代を先取りしすぎたせいか、とりわけ売上好調とは言えなかったようですが、今ではユーミンの代表作として知られるようになりました。

 

個人的にオススメの曲

「灼けたアイドル」「サーフ天国、スキー天国」「恋人と来ないで」

 

 

天国のドア(1990年)

天国のドア

 

バブル期のユーミンはまさに「無敵」。若い女性からは「恋愛の教祖」として拝められ、アルバムを出せば忽ちミリオンヒットを記録、名実ともにナンバーワンミュージシャンとして、時代を牽引しました。そんな無双中のユーミンの最高潮と言える作品が、『天国のドア』です。日本人アーティストで初めて「ダブルミリオン」を記録しました!恐らくですが、シングル未収録で売上200万枚を超えたアルバムは、後にも先にも本作だけでしょう。さすがはアルバムアーティストです。本作を皮切りに、所謂CDバブルを迎え、99年まで毎年のように売上最高記録が更新されることになります。

 

バブル期の作品ということで、初っ端のM1「MISS BROADCAST」や、ラップ調のM7「Man In the Moon」はバブリー全開です。「明日からもハイなまま 明日からも波に乗って」って(笑)。当時最高峰のシンセサイザー・シンクラヴィアが奏でる華やかなサウンドも、若干時代を感じてしまいます。しかし全体を通して聴くと、バブル期のような浮かれた曲ばかりではないことに気が付きます。

 

例えば、M2「時はかげろう」や、M4「満月のフォーチュン」は、エスニックな雰囲気が漂う楽曲。「満月のフォーチュン」は本作のフィーチャーソングでライブでも頻繁に歌われます。

 

銀色のエンジェルが

矢を放つ前の

永遠の一瞬が 二人のはじまり

 

上記はサビの歌詞ですが、注目したいのは「永遠の一瞬」という名フレーズです。この「永遠の一瞬」とは、まさにユーミンが歌詞で表現してきたことそのものなのです。ユーミンは、永続的に流れる時間の、ある一瞬の描写を切り取り、それを歌詞にします。うーん、よくわからん(笑)。具体例を挙げるとするなら、ご存知「ルージュの伝言」。この曲は、夫が浮気したので、ママに言いつけに行っちゃうからね!っていう内容なのですが、夫が浮気をしている場面も、ママに報告している場面も、歌詞では描かれてはいません。あくまでも、ママに言いつけに行こうとする、一瞬の描写を歌詞にしているのです!大体のユーミンの楽曲で、この「永遠の一瞬論」が通用します。

 

M6「ホタルと流れ星」やM8「残暑」といった、控え目ながらも荒井姓時代からの変わらぬ王道のバラードもしっかり収録。「残暑」は84年に若手アーティストに提供した楽曲のカバー。日本の夏の情景が思い浮かぶ美しい楽曲です。それにしても、M7「Man In the Moon」からM8「残暑」への流れ、ギャップが激しすぎて好き。

 

アップテンポなポップスのM9「天国のドア」に続き、ラストを飾るのは、壮大なバラード「SAVE OUR SHIP」。永遠に宇宙に漂流してしまうという、なんとも救いようがない曲。だけど決して切ないわけではないのです。

ユーミンはインタビューなんかでよく、「死があるから生が輝く、私の音楽はそういうものよ。」的なことを語っています。

確かに「SAVE OUR SHIP」も、大きく言えば「死」をテーマにした楽曲ですが、切なさのもっと先にある「愛」みたいなものを感じる、そんな楽曲だと思うのです。先述の「ひこうき雲」も、決して「死」を悲観していませんでしたね。

 

バブルの波に乗った(というよりもある意味バブルを作った)ユーミン。前年までは「純愛三部作」と銘打って、バブルにどっぷり浸かったアルバムを送り出していたのですが、本作でバブルと見切りをつけたのか、以後、スピリチュアルやエスニックな世界に入り込むことになります(ミリオンヒット曲「真夏の夜の夢」や「春よ、来い」なんかはその典型的な例です)。

この路線変更は成功だったのか、はたまた失敗だったのかはなんとも言えませんが、少なくとも『天国のドア』は、エスニックな「聖」と、バブルという「俗」を見事に融合させた、メリハリのある名盤だと思います。先ほども言った通り、サウンドの古臭さは否めません。しかし「どうしてそんな発想が湧くんだ!」と思ってしまうぐらい緻密なアレンジが施されいて、夫・松任谷正隆のアレンジャーとしての才能も垣間見ることができます。

 

個人的にオススメの曲

「満月のフォーチュン」「残暑」「SAVE OUR SHIP」

 

 

ということで、ずいぶん長文になってしまいました。余計なことばっかだなあ。ここまで読んでくださった方、いらっしゃいましたら、心から感謝申し上げます。

次回の中級編、上級編は、できるだけたくさんの作品を紹介したいので、レビュー的な感じでコンパクトにまとめます。

 

とにかく、みんなでユーミンを聴こう!!

ぶっちゃK-HIPHOP

(0)プロローグ

 

WASEDA MUSIC RECORDSになぜか韓国から来たヒップホップオタクの新入生が入ってきました。今これを書いている筆者自身のことです。はじめまして。ニホンゴメッチャムズカシイデス。

せっかく大学生になったんだし、今年からはもう少し生産的なオタク生活を送ろうと思っていたところ、日本でもヒップホップが今すごくブームだと聞いて、それならこの機会に、浅い知識だけど、自分が知っている韓国ヒップホップシーンを紹介することで、もっとシーンが盛り上がらないかな?と思って……、いやぶっちゃけ別にブームになってなくても普通にオタク力発散のために、この企画(?)を考えました。

「企画」とかなんかすごいこと言ってましたが、ただただ自分が好きな韓国のラップミュージックをいろいろなカテゴリーでくくって紹介するだけです。ぶっちゃけ、自分もまだヒップホップをちゃんと聞いたのは短いですし、専門知識とかも浅いです。たぶん日本語もところどころおかしいです。客観的ではないかもしれません。しかし、自分なりに熱情をもって真剣に書いているので、ぜひたくさんの方に読んでもらって、ぼくの嗜好をみんなに強要できたらなあ(??)と思っています。

このシリーズを通じて、両国のヒップホップシーンの交流が深まれれば、という遠大な目標を夢見ています。どうか、よろしくお願いします。

 

 

(1)2018年上半期韓国ヒップホップ注目のトラック30

 

2018年ももう半分が立ちました。今年、韓国ヒップホップシーンでは、やたらと注目されるアルバムがたくさん出ました。秀作は多かったものの、多作な分クォリティー的に残念なものも多かったり(まあ、いつものことですが)、これといった傑作がほとんど出なかったのも事実です。まあ、ああだこうだ言っても、意外と富作だった半年でしょう。

それで、初めから急に韓国ヒップホップの自分なりの決算を行おうと思います。「なんとなく韓国のラップを聞きたいけど、何から聞こう?」と思う人のために(というのは理屈で、ただただ自分が一度やってみたくて)、今年出た注目の曲を30曲くらいに絞ってまとめてみました。

ここにあげて順位を付けた基準は、「完成度」と「重要度」と「波及力」を程よく考慮するように見せて、実のところは、自分勝手に順番遊びしたかっただけだという……非常に残念な基準です(笑)(いや、笑うな、俺!)。

とにかく、もうやってしまった決算、始めます!

 

⚠アーティスト名はできるだけ英語表記にしますが、名前が純粋なハングルの場合はもとの名前も記します。

⚠曲名の場合は原題を書いて、韓国語だった場合、括弧で英訳をつけることを原則とします。

⚠できるだけ公式の英訳を使おうと頑張りますが、それがない場合、筆者自身で訳します。その場合は英訳題名の前に「*」印をつけます。歌詞の場合ははほぼすべて筆者の訳なので印はつけません。

 

 

 

  1. Coa white – hai domo ai chann toe akari chann!

Produced by Coa white

 

 

Lil Pumpが踊りそうなビートの上に、なぜかキズナアイちゃんがラップをしている衝撃は、ヒップホップシーンで小さい波乱を起こしました。とあるラッパーはリプライで「科学がすべてのフィメールラッパーに勝った」とつぶやいたり。いや、確かにアイちゃんはスーパーAIだけど、ボカロじゃないんだぞ。そこがすごいんだぞ。ちなみに、筆者自身もすごく驚いて、どうやって作ったのかDMまでして聞いてみましたが、帰ってきた返事は「企業秘密です」と(汗)。

 

 

 

  1. OHIORABBIT – 적 (RED) (Feat. KHUNDIPANDA)

Produced by Coa white

フューチャーベースを基盤にしたビートの上で、juiceoveralcholクルーの二人のラッパーが「お金」について語ります。「なんで金はいつも敵みたいなんだ?」という質問をして、自分の家族のことをちらっと見せながら(「父の投資は2年で3億(ウォン)を作ったさ/今のラインでswagを感じたお前らは永遠に僕の敵みたいさ」)、むやみなswagを批判するOHIORABBITの歌詞は特に素晴らしいです。スーパールーキーのKHUNDI PANDAの短いverseも核心を貫きます。韓国語がわからない方には難しいかもしれませんが、二人とも素晴らしいラッピングの所有者なので、ラップを聴く味も十分です。

 

 

  1. 한국사람(*KOREAN) – 거위의모험(*The Adventure of the Goose)

Produced by jayhmez

 

「韓国人」というラッパーネームからただものではないことが感じられるこの人の音楽を聴くと、アマチュアが低価格のマイクで録音したみたいな曲が流れます。ラップもすごく素人ぽくて、むしろ奇怪です。しかし、その曲の中にこもった負け犬の感情を、何のフィルターもなくそのまま伝えます。1節では、平凡に生きたいという夢を語って、2節では何もできない現実を語る、一見単純な構造でできているこの曲は、聴いていると泣ける何かが伝わります。ひねくれた否定的感情だけを極限にあげて、補正もなく歌うことで、常に競争を求められる韓国の青春の実像を生で見せたかったのでしょうか。ミックステープ『엠창인생(Rape Life / *糞人生)』の最大名曲。ミュージックビデオと一緒に見ることをお勧めします。

 

 

 

  1. Coogie – 스즈란(SUZURAN) (Feat. Kid Milli, nafla, LOCO)

Produced by Dakshood

https://itunes.apple.com/jp/album/suzuran-feat-kid-milli-nafla-loco/1386625489?i=1386625496

 

ベテランラッパーBill Staxの支援でどんどん知られている新人ラッパーCoogieのセルフタイトルEP《Coogie》に収録された一番の人気曲。フィーチャーリングメンバーもみなラップスキル満載のヤングなラッパーたちで、ラップを聴く面白さは満タンです。Coogieはこのアルバムでヒップホップリスナーに実力を認められるようになりました。普段はポップナンバーで知られているLOCOの活躍も見どころ。

 

 

 

 

  1. Sway D – Color Gang (Feat. Young Thugs Club, Woodie Gochild)

Produced by Sway D

https://itunes.apple.com/jp/album/color-gang-feat-young-thugs-club-woodie-gochild/1380650478?i=1380650482

 

HI-LITE RECORDSのラッパー及びプロデューサーのSway Dがついに出したデビューEPは、さわやかで楽しいサウンドのトラップナンバーが印象的でした。特に、「白黒でつまらない世界を僕らが色づけるぞ!」という単純なコンセプトの下で歌われるverseはみんなそこそこうまいシンイングラップと、どこか抜けたような歌詞がすばらしく調和します。YouTubeのミュージックビデオは、なぜか日本語の字幕も支援しますので、気になる方は是非一度どうぞ。ミュージックビデオと一緒に聴くとすごく面白いです。

 

 

 

 

  1. Uneducated Kid – Amazing (Feat. Jvcki Wai, Paul Blanco)

 Produced by Ian Purp

 

まぬけで危なっかしい歌詞と、それとは真逆な雰囲気のさわやかすぎるシンイングで急浮上している新人ラッパー、Uneducated Kidの話題曲。新鋭Jvcki WaiとPaul Blancoが参加したことと、「僕は粉を売って、名前変える〈薬局〉」というサビを楽しく歌っているカルト性、そしてそのカルト性をグンと高める「指名手配」アルバムアートは、この曲を話題にさせるのに十分だったと思います。

 

 

24. Basick – SM58 (Feat. JUSTHIS)

Produced by Panda Gomm

https://itunes.apple.com/jp/album/sm58-feat-justhis/1332959173?i=1332959174

Basickの多事多難なキャリアは、意外と今年、やっと光っているのかもしれません。期待されるルーキーから、期待以下のアルバムキャリアと、ラップオーディション番組《Show Me The Money 4》で優勝したが、その後のいい成果が出なかった彼にとって、夢の始まりであり、唯一の武器であった、マイクロフォンを素材にして出した、アルバム《Foundation vol. 4》のリードシングル〈SM58〉は、いつの間にかベテランになったBasickと、ヒップホップシーンを恐ろしいキャリアで支配していく新鋭JUSTHISのコラボだけでも話題になった曲です。復古的なラップの野望を感じたいリスナーにお勧め。

 

 

 

  1. VINXEN – 그대들은어떤기분이신가요(How Do You Feel) (Feat. 우원재(Woo Won Jae))

Produced by Punch Sound

https://itunes.apple.com/jp/album/how-do-you-feel-feat-woo-won-jae/1395844683?i=1395845375

TV番組『高校ラッパー』シーズン2のスター、VINXENが放送で発表し、フィーチャーリングをつけて正式に発売したシングルです。(以後、彼のデビューEPにも収録されます。)学校の外にいて、世間から「問題児」と呼ばれる高校生の憂鬱な心をうつして、大人の世界に問いをぶつける正直な歌詞が印象的です。発表されたとき、大衆の間ですごく話題になった曲です。

 

 

 

  1. E SENS – Real Thing (Demo)

 Unknown Producer

 

いまやもうレジェンドで、「リアル」なラッパーの標本であるE SENSの公開曲です。彼にとっては珍しく慰めのある曲です。韓国ヒップホップを代表するMCの曲であって、どんなバイブの曲でも彼の色が濃く染みていますので、関心のある方は是非一度聞いてみてください。

 

 

21. Dakshood – Money Man (Feat. Ja Mezz, Hash Swan, Bill Stax)

 Produced by Dakshood

https://itunes.apple.com/jp/album/money-man-feat-ja-mezz-hash-swan-bill-stax/1335536241?i=1335536249 

 

プロデューサーDakshoodは古典的なサンプリング技法でトレンディーなトラップナンバーまでも作ってしまう、非常に優れたプロデューサーです。そんな彼の堅固なプロダクションに、よく協業しあうラッパーJa Mezzの中毒的なサビ、Hash Swanの独特なトーンと自由に流れるフロー、ベテランラッパーBill Stax(旧VASCO)のトラップフローなどが合わさって、素晴らしい完成度のMoney Swagを作り上げました。

 

 

  1. Han Yo Han – 범퍼카(Bumper Car) (Feat. NO:EL, Young B)

Produced by Han Yo Han

https://itunes.apple.com/jp/album/bumper-car-feat-noel-young-b/1341593798?i=1341594041 

ギターリストが急にラップをしだして注目されたハン・ヨハン。ハイテンションなロックサウンドとハン・ヨハンのすがすがしいシャウトなど、ヒップホップとロックを音楽的センスで程よく融合させているアーティストです。軽く、楽しく聞ける歌で、ハリウッドのB級ヒーローものに似合いそうです。ただ、サビで「カミカゼ」という戦争犯罪の用語をむやみに使ったことで相当の批判も受けています。

 

 

  1. Jay Park – SOJU (Feat. 2 Chainz)

Produced by WOOGIE

https://itunes.apple.com/jp/album/soju-feat-2-chainz/1389713521?i=1389715730 

2017年のヒップホップ界のビッグニュースの一つは、アイドル出身で、今やすっかりヒップホップ・R&Bの公式働き者、パク・ジェボム(Jay Park)が、Jay-Zが頭にいるROC NATIONレーベルとアーティスト契約をしたことでした。Jay Parkの実質的な海外活動を知らせる嚆矢的な曲です。「焼酎」の主題で、アメリカの有名ラッパー2 Chainzとラップしあうことも面白いです。自分的には完成度がそんなにいいとは思いませんが、今まで出たアルバムのクォリティーがすごかったので、7月にROC NATIONから出るEP、期待しています。

 

 

  1. Cosmic Boy – 동서남북(EWSN) (Feat. Choilb, OLNL, Kid Milli, Giriboy, Han Yo Han)

Produced by Cosmic Boy

https://itunes.apple.com/jp/album/ewsn-feat-choilb-olnl-kid-milli-giriboy-han-yo-han/1374802685?i=1374803086 

 (Live映像)

Giriboyが発足した『WYBH』クルー所属のプロデューサーCosmic Boyは、同じくWYBH所属のGiriboyやOLNL、Kid Milliなどの曲をプロデュースすることで、静かに浮上しているフューチャーベース基盤のヒップホッププロデューサーです。彼がついにソロのプロデュースEPを出して、その中でも、WYBHの名の知れたプレイヤーたちが多量参加したこの曲はリスナーたちの間で話題になりました。

 

 

 

  1. 이수호(Lee Soo Ho) – Ambush (Feat. Kim Ximya)

 Produced by 이수호(Lee Soo Ho)

 

https://itunes.apple.com/jp/album/ambush-feat-%EA%B9%80%EC%8B%AC%EC%95%BC/1406241827?i=1406241843 (アルバム収録)

何の情報も知られていない、本当に何の前触れもなく突然出てきたプロデューサーのリ・スホ。サウンドクラウドに唯一に上がってるこの曲は、アバンギャルドヒップホップグループ《XXX》のスーパールーキーラッパー、Kim Ximyaのフィーチャーリングで知られ、その前衛的なビートで話題になりました。Kid Milliの〈AI〉と〈WHY DO FUCKBOIS HANG OUT ON THE NET〉をプロデュースしたということしか知られていない、いまだにヴェールの中に包まれているこのプロデューサーは、この一曲だけで十分に注目されるべきだと思います。ちなみに、7月3日に彼のデビューアルバムが発売されました。要チェック。

 

 

 

  1. Indigo Music – Hyperreal

 Produced by Xindoel

https://itunes.apple.com/jp/album/hyperreal/1338676454?i=1338676725 

Indigo MusicのJvcki WaiとKid Milli、Swingsが参加したレーベル団体曲は、女性ラッパーJvcki Waiの入団曲のようなものです。サウンドクラウドを中心に浮上していた新鋭のJvcki Waiが、本格的にメジャーレーベルで働き始めることを知らせる予告編を見ているようです。

 

 

 

  1. Kid Milli – daddy

Produced by NK Music

https://itunes.apple.com/jp/album/daddy/1382602093?i=1382602095 

Indigo Musicに入って一年足りずでトレンドセッターになった新鋭Kid Milliが、正式フルアルバムが出て2か月もたたないうちに発表したEP《IMNOTSPECIAL》の収録曲です。衝撃的な家の事情を、父に話しかける形式で淡々と語った曲は、クールでオタクというキャラクターしか知らないリスナーたちにショックを与えました。実話基盤のストーリーテーリング曲の中で今年一番インパクトのあった曲だと思います。

 

14. Balming Tiger – I’m Sick

Produced by No Identity

https://itunes.apple.com/jp/album/im-sick/1403697724?i=1403698243 

 

Keith Apeのヒット曲〈It G Ma〉をギターでカバーした映像で話題になったラップ・ボーカルのByung Unをフロントマンとして集まったクルー、Balming Tigerの話題曲の初シングル。インターネット放送のお約束のふざけをパロディしながら死に物狂いで有名になりたい気持ちを表す、面白くて同時に衝撃的なビデオは、本当に彼らの名をどんどん広く知らせています。リストの中で一番面白いミュージックビデオなので、ぜひチェックを。

 

 

  1. Simon Dominic – 정진철(Jung Jin Chul)

Produced by Dihcro

https://itunes.apple.com/jp/album/jung-jin-chul/1399496248?i=1399496900 

Simon Dominicは大衆的に有名なラッパーですが、長い間ソロアルバムがないとのことで、批判を超えて、もはや一つの笑いネタとして遊ばされました。そんな中、突然出たこのアルバムには、今までのポップ性を見せたスタイルとは真逆の、暗い自伝的ストーリーが詰まったEPでした。特に、失踪した叔父のことを題材にしたこの曲は発表直後すごい反響を呼びました。個人的に彼独特の華麗なフローが全くないことが残念ですが、その影響自体で上半期の注目すべきトラックとして載せました。ちなみにこの後、叔父に実際再開したともいうので、めでたしめでたし。

 

 

  1. TakeOne – 개화(Bloom)

Produced by Pleyn, Dakshood

(未発売曲で、MIC SWG BOOTHというコンテンツで行ったライブヴァージョンで初公開された。)

https://itunes.apple.com/jp/album/bloom/1410677913?i=1410678105 (7/11正式リリーズ)

TakeOneの2016年末日に(本名キム・テギュン名義で出した)アルバム《녹색이념(Green Ideology)》は、韓国ヒップホップシーンに久々の密度の高い叙事のある自伝的なアルバムが出たことで好評を受けました。そして今年、プロデューサーNUOLが企画・進行したコンテンツ《MIC SWG BOOTH》で発表した未公開曲は、暖かいサウンドと歌詞が印象的で、次のアルバムを期待させました。『開花』という曲名は、駅の名前でもあって、「花を咲かす」というそのままの意味も持った二重の仕掛けです。「一人の女性について話したい。顔だけでなく心が一番きれいな、あなたのような女をまた会えるのなら、僕ももう一度息子として生まれたい」というverse始まりのラインは、反転もあるし、何より美しくないですか。歌詞がわからなくても、音楽自体が美しいですので、積極お勧めします。(ちなみに、映像では2曲を歌いますが、一曲目がこの曲で、二曲目は《녹색이념(Green Ideology)》の収録曲〈제자리(*Right Place)〉です。この曲も家族に捧げる曲で、アルバムのエピローグ部分を担当する、美しい曲です。)

⊛正式リリーズは7月ですが、未公開時の反応が強かったため、上半期の曲として紹介します。

 

 

  1. XXX – 뭐어쩔까그럼(What You Want)

Produced by FRNK

https://itunes.apple.com/jp/album/what-you-want/1344722811?i=1344723109

ラッパーKim Ximyaと、プロデューサー及びDJであるFRNKの二人で結成したアヴァンギャルド・ヒップホップグループ《XXX》は、FRNKのエレクトリックビートを基盤にした独特で前衛的なビートと、Kim Ximyaの計算的かつ攻撃的なラップで認知度を上げていっている、次世代ヒップホップの期待主です。最近、歌詞が厭世的になりつつあるKim Ximyaの刃を隠したラップと、FRNKのセンスが生き生きしているプロデュースの調和は今回も失望させません。「金の話はもうやめろ。I just wanna talk art. 芸術は人間、人間は欲望、欲望は金…Wait, hold up!」と続くパートの歌詞は、自己矛盾を表しつつシーンを批判することですごく印象的です。今じゃ、彼らが予告したファーストフルアルバムを楽しみに待っているのみです。早く出してくれないかなあ。

 

 

  1. KHUNDI PANDA – 실로(Silo / *Lost Way)

 On Gabriel Garzon Montano – The Game

 

「お前より勝るのは音楽しかないけど、俺らの目標が幸せならば、俺は何歩か遅れたさ」

有名でない一人の青年ラッパーが、リアルな音楽が金によって揺れてしまうことを淡々と話します。いい音楽と有名性の間で、自分自身の価値観まで否定してしまう自己矛盾な心理を、少しダンサーブルなビートの上で語るとき、聴者である僕は一人の青春として共感しました。淡々と語る話には、大衆音楽に向けてのとげが生えていて、聴くたびにすごく痛く感じます。韓国語がわからなくても、そのラップもすごいので、興味のある方はこれの入ったミックステープを(しかも無料ですので)ぜひ確かめてみてください。次世代の伝説になるだろうと自信をもって断言します。

 

 

  1. 오르내림(OLNL) – 유학생(Foreign Student)

Produced by Charming Lips

https://itunes.apple.com/jp/album/foreign-student/1340784445?i=1340784477

 

OLNLは独特な低い声と、また独特な高音を自由自在に使い、少年っぽい歌詞を歌いながら、独創的で同時に大衆的な音楽をする人です。彼のほぼボーカルに近いシンイングラップで、独りぼっちだった過去を、だれとも話の通じない「留学生」と比喩して歌います。《All Available》アルバムのリードシングルです。

 

 

 

  1. HI-LITE RECORDS – Break Bread

Produced by BIG BANANA,UGP

https://itunes.apple.com/jp/album/break-bread/1341582496?i=1341582505

 

Paloaltoが社長を務めるハイライトレコーズは2016-17年にかけてB-FreeやKeith Ape、Okasianなどのコアなメンバーが脱退してリスナーたちはここが再起できるのか不安になりました。それが杞憂であったと証明した、ハイライトレコーズの団体曲です。〈2期〉と言えるくらい新しくなったメンバーたちがラップする野望は、彼らの次のステップに希望を持たせました。Reddyのヴァースでハイライトのメンバー全員をシャウトアウトした部分も話題になりました。

 

7.Ja Mezz – 錬金術(Feat. Dok2, MINO)

Produced by Bangroz

https://itunes.apple.com/jp/album/alchemy-feat-dok2-mino/1359648939?i=1359648940

『鋼の錬金術師』をオマージュしたコンセプトのこの曲はJa Mezzというラッパーをもっと興味深くさせました。韓国のMoney Swagの開拓者であるDok2と、アイドルの枠を超えたパフォーマンスを見せるアイドルグループWINNERのラッパーMINOとの相性もよく、何よりどこか日本らしいソースを混ぜて黒魔術のようなムードを作るビートが一番貢献したのでしょう。この曲のミュージックビデオもモーションキャプチャーや魔術的なイメージなどがきらめく良作なので、ぜひチェックを。『鋼の錬金術師』のおかげか、日本語字幕が映像に直接貼り込まれています。

 

 

 

  1. NUOL – Finder (Feat. NO:EL, Hash Swan, Huckleberry P)

Produced by NUOL

https://itunes.apple.com/jp/album/finder-feat-no-el-%EC%9E%A5%EC%9A%A9%EC%A4%80-hash-swan-huckleberry-p/1397272149?i=1397272824

ベテランプロデューサーNUOLが3月末に出したアルバムは、多数の曲を1トラックに収めたことで話題になりました。その中で、NO:ELとHash Swan、Huckleberry Pがラップした部分は特に人気が得て、のちにトラックを分けて出したデラックスヴァージョンでも代表曲になりました。2000年生まれの新鋭NO:ELと、シーンでどんどん名を広めているHash Swan、そしてアンダーグラウンドの守護者とうたわれるHuckleberry Pが集まって起こすエネルギーがあなたを魅惑するに間違いありません(ドヤ)。

 

 

  1. JUSTHIS – THISISJUSTHIS / Don Mills – 랩저능아(*Rap Dumb)

Produced by JUSTHIS / Unknown Producer

THISISJUSTHIS https://itunes.apple.com/jp/album/thisisjusthis/1367869036?i=1367869038 

Rap Dumb

 

上半期の韓国ヒップホップシーンの最大イッシューと言えば、JUSTHISとDeepflowのビーフでした。話すと長いので(笑)簡単に言うと、アンダーグラウンド象徴であったDeepflowの変質をJUSTHISが批判し、Deepflowと彼が代表として務めるレーベルVMCのアーティストたちが対抗して起こったビーフです。その中、JUSTHISが発表した9分のディス曲はリスナーたちに熱い反応と論争を起こした。JUSTHISのリミッターが解除された怒り満タンのスキルフルなラップを聴けます。

一方、THISISJUSTHISが発表する前、VMCのラッパーDon Millsが発表したディス曲もカルト的な人気を得ました。JUSTHISの以前のディスヴァースで「ラップ低能児」一言で攻撃されたDon Millsは、その攻撃自体を逆に武器として、にぎやかなトラップに「ラップ低能児稼いでる、ラップ低能児respect受ける」という中毒的なサビなどが面白すぎて、Don Millsキャリア最高曲だとか、JUSTHISとDeepflowのビーフの最大受益者だなどと言われています。

 

  1. Kid Milli – WHY DO FUCKBOIS HANG OUT ON THE NET

Produced by 이수호(Lee Soo Ho)

https://itunes.apple.com/jp/album/why-do-fuckbois-hang-out-on-the-net/1358618057?i=1358618064 

韓国ヒップホップシーンに言葉通り彗星のように登場したKid Milliの初のスタジオアルバムは、ハウスサウンドを前面にしたプロダクションと、もっと多彩になったラップを詰めていて再び衝撃を与え、ヒップホップシーンの中心に堂々と入ってきました。この曲は、そのアルバムの実験的な色を代弁するような曲です。なぜKid Milliがフレッシュなのか、Just listen and feel(ドヤ2)。ちなみにこの方、ファッショニスタである同時にアニメ好きなオタクで、秋葉のメイドカフェで金をまくのが夢らしいです(彼の代表曲〈Honmono〉をチェック!)。

 

  1. Swings – Holy

Produced by 천재노창(Genius Nochang)

https://itunes.apple.com/jp/album/holy/1363950756?i=1363950810 

まさに韓国ヒップホップシーンのゲームチェンジャーだと言える、ベテランでありつつも常にイッシューを呼び起こす、強者ばかり集まった集団Just MusicとIndigo Musicの代表でもある、怪獣の称号が惜しくないラッパー、Swings。彼が出したアルバム自体の波及力もありましたが、それよりもこの一曲がもたらした論争は本当に激しく、それをもたらしたこと自体で、TOP3に入る資格があるでしょう。

18分もある大曲ですが、ラップは3分程度で収まって、ほかの15分はただただ彼が語るだけです(あえて言えば、Kanye Westの〈Last Call〉みたいな感じでしょうか)。ラップのヴァースでは、クリスチャンだった彼が神様に自分が苦しむことを述べながら、聖書についての疑問を直接問いながら(「地獄に送る理由一つであなたを信じたくはないさ」)、その神様が結果的に自分を助けることを求めます(「こんな僕の態度を疑うけど、息子はいつも問うもんだから。嘘つきだけが質問を避けるさ」「僕に才能を与えただろ、Jesus?あなたがいないからみんな追うのはYeezus」)。そして、論題は〈芸能人に対してのネット上で行われる魔女狩り〉に移ります。韓国内に存在する宗教人の多さや、それにもかかわらず互いの没理解が起こる理由について問い、そこで苦しむ自分を表して、イエスに助けを求めて終わります。

大衆に自分の考えを説破するナレーションの中、その主題については皆が共感するのですが、語られる際の論理が足りなかったり、学校内暴力事件の疑惑がある人を擁護したり(そのためのナレーションではありましたが)会社員を見下す姿勢などが批判されました。しかし、彼が投げた質問に、多くのリスナーが甲論乙駁を行うこと自体、彼の影響力を再び実感させることのできた、話題の一曲でした。

ちなみに、このビートは、彼のレーベルJust Musicのラッパー・プロデューサーである天才ノチャン(Genius Nochang)の名曲〈행(GOD)〉をサンプリングしたものです。ノチャンのプロダクションは常に高クオリティーで、彼にしか出せない独特なものがあり、その完成度とアヴァンギャルドさが高評価され、いつも期待を浴びるのですが、最近行方をくらましてしまったようで、みんなの心配を受けています。(この曲にも「ノチャンのために祈ってください」というナレーションがあります)天才ノチャン!戻ってきてください!!!

話が長すぎましたが、曲も長いんで、許してくださいね(ドヤ3)。

 

  1. JUSTHIS & Paloalto – Seoul Romance

Produced by GroovyRoom

https://itunes.apple.com/jp/album/seoul-romance/1356489565?i=1356489579 

上半期の一番の期待作といえば、やはり2016年衝撃的なデビューアルバム《2 MANY HOMES 4 1 KID》で登場した新鋭コンシャスラッパーJUSTHISと、常に淡白でよいバイブの音楽をしてきたベテランPaloaltoの合作アルバム《4 the Youth》だったでしょう。22トラックもあるアルバムの中で、〈Seoul Romance〉は、曲名が出す雰囲気とは真逆に、ソウルで暮らす二人が感じた人生の経験を述べながら、韓国社会の問題点を指摘するトラックです。その問題の捉え方が的確で、堅固なBoom Bapのプロダクション、そしてPaloaltoの重厚なラップとJUSTHISのいかれたラップの調和も素晴らしいです。韓国の知識人ユ・シミンの講演からのサンプリングもまた社会について考えさせます。「強盗に合った夢、生存本能だけか残ったソウル」「韓江の奇跡が浪漫を消したわが親の記憶の上に建ったピラミッド」

 

  1. 화지 (Hwaji) – 나 빼 (NAPPE / *Count Me Out)

Produced by Young Soul, O’NUT

https://itunes.apple.com/jp/album/%EB%82%98-%EB%B9%BC/1333422608?i=1333423312 

 

数年間続いた韓国ヒップホップシーンの最大論争は、「ヒップホップがマスメディアに侵食されているのか、それとも利用するべき機会なのか」についてです。日本の《フリースタイルダンジョン》のように、韓国でもラップ競演番組《Show Me The Money》が人気です。しかし、そのせいで大衆がヒップホップについてのステレオタイプなイメージを持ってしまい、その番組がパイの拡張より、ただ話題性の高い曲だけが売れる現象を作ってしまいました。そこでヒップホップシーンは「メディア擁護論」と「メディア批判論」で責め合ったり、常にメディアに批判的だったラッパーがいつの間にか言葉を変えてその番組に出るようなこともしばしば起きました。(そのような態度変換を批判した代表的な例が、リスト5番目に紹介したJUSTHISのディス曲です。)

自ら「現代ヒッピー」と名乗る、韓国トップレベルのリリシスト、Hwajiは、新しいEP《WASD》で、シーンをゲームに比喩して、ただ状況を楽しむ観照的な態度を取ります。「争う間に音楽をしろ」「俺はインディ、お前らはハンゲーム(大ゲーム企業)」「韓国ヒップホップに俺は抜け」という核心を突くサビが印象的です。そして、どれだけメッセージが詰まっても、説教的ではなく、むしろファンキーでレイバックされたグルーびーなビートのおかげで、本当にゲームをするように楽しみながら聞けます。結局どんな論理よりも、一番大事なのはやはりいい音楽を作ること。そして私たちはそのいい音楽を消費することが文化の発展につながるでしょう(最後のドヤっ)。

 

 

Honarable to Mention

Mild Beats – 불나방(ヒトリガ) (Feat. Chaboom)

https://itunes.apple.com/jp/album/%EB%B6%88%EB%82%98%EB%B0%A9-feat-chaboom/1400668495?i=1400668503

https://youtu.be/zLIXoyeyn-4

Swings – Keep Going (Feat. BewhY, nafla, ZICO)

https://itunes.apple.com/jp/album/keep-going-feat-bewhy-nafla-zico/1377599758?i=1377599911

 

 

Deepflow – 나다 이

 

Errday, Wet Boyz, ZENE THE ZILLA – GA ZU A

 

(ENG SUB 支援)

 

 

Futuristic Swaver – YABAI (Feat. Kaine Dot Co, TYOSiN, Moment Joon, Kor Kash, SKOLOR & Airplaneboy)

https://itunes.apple.com/jp/album/yabai-feat-tyosin-kaine-dot-co-moment-joon-kor-kash/1408536140?i=1408536152

(Short Ver.)

 

 

 


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