五月二十二日祖師ヶ谷大蔵、カフェムリウイにて十一代目ワセレコとしての初イベント「束ねて」が開催された。出演アーティストはみらん、ゆうらん船から内村イタル、そして学生アーティストとして池田銀、ゆうさりを迎えた。カフェでゆっくり音楽を聞きたいというコンセプトをうまく反映したブッキングになっていたと思う。イベントの形式としては二部制を採用し、一部に池田銀、みらん、二部にゆうさり、内村イタルを据えた構成にした。二部制にすることで多くの人に楽しんでいただき、人と人の交流も盛んに行ってもらうという狙いで試みたが、狙い通りの効果がありとてもよかった。当日のお日柄も良く梅雨が始まる前の心地よい春の陽気に包まれた屋上スペースは多くの人でにぎわった。人と人が音楽、カフェをテーマに集まり、交流する場所を提供したいというイベントの構想段階からあった私たちの思いが形になった素晴らしいロケーションを作っていただいたカフェムリウイ様にはこの場を借りて感謝の意を述べたい。

池田銀

少し汗ばむくらいの麗らかな晴天の下、トップバッターを務めてくれたのは池田銀であった。演奏前に行ったインタビューで緊張しているとそわそわしながら語った彼だったが、演奏が始まると緊張など一切感じさせないのびのびとした歌声で会場の空気をいっきに掴んだ。伸びやかな高音は澄んでいて優しく、歌詞はとてもキャッチーでありながらも深みを持っていて、うっすらと儚さや黒い感情が見え隠れする同年代とは思えない完成度であった。

みらん

白いパラソルの下で飲み物を片手にたばこを吸っていた人や音楽を共通項に話に花を咲かせていた人達が活気と少しの熱気をまといながら、ゆっくりと会場に戻ってくる。窓からは仄暗い会場を照らし出す春の西日が差し込む。第一部二人目みらんの演奏が始まると、軽やかなメロディーと人を一気に引き込む力強くも優しい歌声が会場を包み込んだ。小さな会場でしか味わえない人が目の前で歌っているという当たり前だけど、大切にしていきたいことを思いださせてくれる素晴らしい演奏だった。

ゆうさり

黄昏時は不意にやってきては気づいたら薄れていき、ゆっくりと青い夜がカフェを包み込む中、第二部が始まった。去年スペースシャワーと共同で行った学生発掘イベント「michikai」のファイナリストであるゆうさりが第二部の一人目を飾った。まず驚かされたのは彼女の透き通るような声であった。その美しい声は私たちの琴線を震わせ、一種の神秘的な時間が流れた。エフェクターを駆使した演奏も圧巻で、アンビエントのようなサウンドは賑やかだった会場の雰囲気を一変させ、自分のものにしてしまった。これで同年代だというのだから凄まじい。演奏終了後には緊張からの解放で、皆一本の映画を見終わったような心地よい脱力感を味わっているようだった。

内村イタル

少しづつ夜が更けていくなか、窓や扉から入ってくる春時雨のさわやかなにおいが会場を包むと、「束ねて」のトリを務める内村イタルの演奏が始まった。ニューバランスのスニーカーでリズムを取りながらゆっくりと演奏を始めると、優しくも儚い掠れたような内村の歌声が会場を包み込んだ。五月に発表されたゆうらん船でのアルバム『MY REVOLUTION』から数曲をアコースティックバージョンで演奏するなどファンサービスも欠かさず、内村イタル名義での楽曲も披露するなどライブとしての完成度が桁違いだった。最後にはアンコールにも応え、会場全体を大いに盛り上げてくれた。

結果としては大いに盛り上がり、私たちがやりたかったことをすべて実現することができたが、蛇足とわかりながらも、このイベントの主催者であるワセレコ幹事長の草鹿に大きな感謝を伝えたい。当日は体調不良で参加できないというハプニングもあったが、彼なしにはこのイベントは成り立たなかったことであろう。また、当日ご来場いただいたお客様、出演していただいたアーティストの皆さま、そして重ねてにはなりますがカフェムリウイ様、この度は本当にありがとうございました。