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Camelot
 1年ぶりの再会に固唾を飲んで目を凝らす観客、そしてスタッフの面々。大都会の真ん中に穿たれた洞穴の奥底を想起させるWOMBのステージセット、時刻は12時55分。Camelotの4人が放つ轟音が今まさに地面を蹴って駆け出していく有様を僕は余さずこの目に焼き付けんとして2階のメインフロアの隅に佇んでいる。近頃の物欲の多さを反省すると意外に自分がミニマリストなのではと感じる節があり、それは音楽を聴く際にどのように現出するのかといえば、例えば一体感の中に各楽器の一音々々がしっかり分化して聴こえてくることが「快」であるということだったりする…まるで陳腐なオーディオ論評のようでなんともお恥ずかしい限りではあるが、昨年もイベント後に書かせていただいた通り、会場である渋谷WOMBはかなり良質な音響条件を備えており、また幸せなことに(早大生であってもなくても)弊団体出演アーティスト諸兄姉の演奏レベルも年々向上していると個人的には信じているので、こういった側面からの感情を述べるのも一つ我々の使命だと考える次第である。爽快な女声ヴォーカルで頗るパンキッシュ、目の覚めるような鮮やかさは”STAGE”という曲名もまさにピタリとハマり祭典の幕開けを色付けていく。ここまでわかりやすい「快」を感じさせてくれたバンドを久々に観ることができて素直に脳が、身体が喜んでいるのがよくわかる。彼ら以上に適任なオープニングアクトを一体誰が見つけられたというのであろうか。言ってしまってもいい。僕はこの時点ですでにイベントの成功を確信することができたのだ。(しょざわ)
メロウ・イエロー・バナナムーン
 次に登場したのはメロウ・イエロー・バナナムーン。今年は長野県松本市で行われたりんご音楽祭に出演し、またWMS直前でラジオ番組J-Waveへの出演を果たすなど、現在その活躍が各方面からの注目を集めているところ。結成してわずか1年ながら、そうは思えないほどの実力と自信に支えられた、堂々たるパフォーマンスを披露した。  「かくも素晴らしき日々」で幕を上げたメロウの演奏。ずんずんと前に突き進んでいくような演奏ですぐに会場の緊張感を解きほぐし、次の「Drift」へと繋げる。3曲目「夏霞」はメロウ・イエロー・バナナムーン初期の発表曲。メロウと聞いてまず思い浮かぶのは、vo.緒方のあの溌剌とした声と、ボーカルを後ろから支えるエキゾチックで明るいサウンドなのだが、魅力はそれだけではないということを思い知らされる。スローなテンポで丁寧に演奏される曲に、しっとりとした歌声が乗って、会場の隅々まで響き渡る。「ライカ・デイドリーム」は、ボーカルとそれ以外のパートによる掛け合いが楽しい。サビの終わりのフレーズが、曲が終わった後もリフレインする。そして最後はイントロのギター・リフが印象的な代表曲、「cycle!」で締めくくった。やはりメロウ・イエロー・バナナムーンらしい、賑やかで幸せなパフォーマンス。それぞれの楽器は決してぶつかり合うことなく、最後まで絶妙なバランスを保ちながら演奏を終えた。あっという間の30分。もう終わっちゃった、と呟く声がどこからか聞こえた。(りょ)
ハイとローの気分
渋谷駅から道玄坂を登り、傾斜のある路地へと入る。“見慣れた街の裏側の風景”を辿りながら、やっとの思いで会場・渋谷WOMBへと駆け込む人々。彼ら/彼女らを迎え入れたのは『Hongkong17:00』。ゆるふわ終末ポップバンドが香港の17時を詠う。明るくどこかもの悲しげな音楽が心地よい世界へと誘う。まい(key.)の高揚させる間奏フレーズ、おさめ(Gt.)の駆け抜けるソロ、さえきりほ(Vo.)が繰り返す「バイバイ」――2曲目の『僕はゲーテ』が終わると、彼女らが創り出す世界のシャボン玉にすっかりと会場は覆われた。  「ワセレコさん、ありがとうございます!」MCの声も素敵だ。「ラーメンよりも安い、バンドマンを買っていってください!」ユニークな物販の宣伝は、大学生の価値観への挑戦だ。この音楽が手に入るのならば、ラーメンなんてもう食べなくてもいい…… 「今の気持ちを聞いてください!『てんぱっちゃってる』~~」優しいギターを中心とする音楽に乗せ、“ハイロー”特有のラップ調の詞が僕らの心に流れ込む。「てんぱっちゃってる、アタシ恋をした」と聴くたびに、アタシはあなたたちの音楽に恋をしてしまいそうだ。4曲目の『揺れる』を終え、再びMCへと続く。 「サブステ誰が出るんだろう!みんな見に行ってあげてくださいね!」当時は詳細が未発表であったラウンジでのコラボステージの宣伝。企画側の人間であった筆者は、さえき本人がボーカルを務めることを知っていたので笑みがこぼれてしまった。 「お馴染みなのかな?」という問いかけから“ハイロー”の代表曲が始まる。こう(Ba.)のリフが胸を打つ、ついに来た、『PENGUIN DESTRUCTION』だ。ヌケのある声が響く。“ゆるふわ終末ポップ”という言葉で形容するのに正しい楽曲だ。「前髪を切りすぎて 世界終わらないかなって思った」歌詞を聴けば聴くほど彼女らの深みへと引き込まれる。気づいたら最後の曲。「手拍子になるかなぁ、聴いてください、『溶けたサマー』」名残惜しさを残して場内は手拍子で包まれる。スタンドからマイクを取り横に揺れながら歌うさえき、前後に揺れる観客。「レモン、イチゴ、メロン、ブルーハワイ」それぞれが様々な思いを胸に口ずさむ。“あなた”とバイバイをしたこの夏が終わった………(やまだ)
MINAMIS
『You can’t hurry love(SE)』が鳴るステージに僕らのスーパースターが肩を組んで現れた。彼らが鳴らす1音目から場内はダンスフロアへと早変わり。渋谷WOMBはクラブハウスという本来の姿を思い出したようだ。これまでのアクトが創り上げてきた空間とはガラリと雰囲気を変え、アジア最大級のミラーボールは、これでもかと回る。高坂(Gt.)が刻む小気味良いフレーズが聴こえる。『ドライブライフ』だ!ステージのMINAMIS、踊る観客、裏で働くスタッフ、全員が笑顔になった瞬間だ。最初からエンジン全開の彼らはオーバーヒートという状態を知らない。どこまでも熱量をあげていく。跳ねる、踊る、ステージに腰を掛けての演奏、はむざ(Ba.)の挨拶替わりのスラップ――興奮冷めやらぬままに、はむざの流暢な本当の挨拶トークが始まる。 “WOWWOWウォウォウォ”南雲(Vo.&Gt.)の掛け声がMCを遮る。また微笑んでしまう。そのまま最新CDに収録の『Let’s dance, CHABO!!』へと……高坂とはむざのソロ対決が始まったと思えば、本日ゲストとして迎えられた松本ジュン(Key.)の早業ソロ、南雲がひっくり返るほどの篠原(Dr.)ソロと展開される。自己紹介が終わると聴き馴染みのあるイントロと手拍子が場内を包む。3曲目は『ワンダー』、歌詞が心へと染みこんでいくのが分かる。ふと隣を見るとその女性の目は輝いていた。 「過去は絶対に変えられないけど、未来を変えるだけで、あの時に後悔してよかったなぁと思える。動いている自分の心臓だけは信じて。」特別な空間が終盤へと差し掛かる中、『信拍数』が心に響く、届く、震わす。清涼感ある南雲の声が「大丈夫だよ、みんな」と励ましてくれる。こんな俺でも大丈夫なのかもなぁと前を向けた。「ありがとう、MINAMIS」。  たっぷりと焚かれたスモークと共に、最後の曲『アイ』を迎える。「愛されたい」、それは誰しもの願い。キラキラとしたステージの上で輝く5人がその願いを歌っている。ボクも2列目のめちゃくちゃ可愛い娘になりたいなぁ(気になる方はMV『アイ』を参照)。俺ら/私たち/僕らはMINAMISを愛しているぞ。(やまだ)
水中、それは苦しい
なにかが起こりそうな予感と共に始まった水中、それは苦しい。徳島から駆けつけたDr.アナーキー吉田を含む正規メンバーの3人でこのステージに立っていることに、早くも感動を覚える。一度聴いたら忘れることはない『安めぐみのテーマ』からスタートした彼らのステージ。Vo.ジョニー大蔵大臣の「気が遠くなるほどのリバーブ」というリクエストから、溢れ出す熱とパワーに彼らの力を確信する。続く『農業、校長、そして手品』では、Vo.ジョニーとVn.セクシーパスタ林三が肩を並べて演奏する姿に思わず見惚れてしまう。Vn.セクシーパスタの黒光りするパンツが気になったが、彼の奏でる音色もそれに負けないくらいの輝きを見せていた。「手品」のC&Rで彼らの登場に衝撃を受けていた観客の心もつかんでいく。Vo.ジョニーの大学時代についてのMCをはさみつつ、「オトタケの復活を願って」披露された『おっと!オトタケ』。空を切り裂くようなドラムとバイオリンのサウンドが響き、笑いだけでは終わらせない彼らの音楽が会場を飲み込んでいく。WMSにもぴったり?の新曲『俺、副都心』に続いて、わんぱくな曲中心の彼らの中でも「シリアルな曲」として紹介された『芸人の墓』。Vo.ジョニーの訴えかけるような語りに思わず心が揺さぶられ、身が引き締まるような、これぞバンドだ!というようなしびれる演奏だった。『まじんのおのようこ』では3人がドラムのもとに集合し、“シャッターチャンス”を与えてくれたかと思えば、最後は12/7発売予定のアルバムに収録されるという『ツバメ☆グリル』で衝撃のラスト。Dr.アナーキーがボーカルに打って変わり、他二人がコーラスでそれを支える。彼らの創り上げる何とも言えない空間に、訳も分からないままどっぷりと浸ってしまう心地よさ。音楽の爆発力を体感した40分間、彼らが与えてくれた刺激は計り知れない。(えばら)
ナツノムジナ
「ナツノムジナ」は不思議なバンドだと観るたびに思います。

天体→プロペラ→深海 1曲目天体の開始と同時にスモーク。WOMB自慢のミラーボールがこれでもかと輝いて、眩しく煌びやかにステージは照らされました。Gt.仲松の激しいプレイングが早くも炸裂し、最後にはVo.Gt.粟国とのアンサンブルに。続く代表曲プロペラでは、イントロのドラムを聴くなり待ってましたとばかりに踊りだす人もいました。そして音源未収録曲、深海。穏やかなメロディに、深くエフェクトの効いたギターの音色が絡み一段とサイケデリックな感覚を覚えます。

ナツノムジナのエモーションはどこか抑制されていて、それでいて確かな叫びとして客席に届く。直情的な(所謂エモい)ボーカルやサウンド、パフォーマンスで単純に伝えるのではなくて、もっと根本的な部分でもって心に響くのだと思います。その点で、(臭い言い方ではありますが)ナツノムジナには「観る」とか「聴く」より「感じる」のような言葉の方が似合うのかもしれません。

艀→凪 最後の2曲は「艀」と「凪」。僕含め「艀」や「凪」というものを実際に見て、経験した人はそういないでしょう。ですが、その叙情詩のような歌詞とメロディに、見たことのないはずの情景、普段感じることのない情緒が思い起こされるような錯覚が起こりました。凪の空の青さ、艀の浮かぶ海の青さ。振り返った時には既に過ぎ去っていた青春や故郷の風景。そして自分自身の青臭さ。僕にはそんなものが浮かんできました。皆さんはどんな景色をナツノムジナという現象から体験したでしょうか?(こ)
Tempalay
 その日の東京は幾分肌寒く、半袖を着る人もほとんど見かけなかった。秋、どころか冬の足音も聞こえるのではという季節。しかし、この時の渋谷WOMBのメインフロアでは誰もがそのことを忘れていたであろう。そんなのんきでどこかトロピカルな空気をTempalayは持っていると思う。  Tempalayのような音楽が好きだ。だが近しいバンドがあまり国内にはいないように感じる。実際、海外インディーシーンの影響を受けていると書かれているのをよく見かけるが、自分はあまり洋楽に明るくないのでそういう記事を見かける度にそこに登場するバンドの音源を聴くようにしていた。その結果、音が似るバンドはあれど、楽曲に漂うあの独特のノリは唯一無二だと思った。  「学生団体に呼ばれるのはうれしいです~。学生の発信力ってのはビッグバンのように…」マイペースに話すVo.Gt.小原のMCにDr.藤本がしびれを切らしカウントを入れる。笑いながら「時間も押してるんですもんね(笑)盛り上がっていきましょう!Hoo!」と応じ、次曲JOEの演奏が始まる。「壊れちゃった 悲しくって いかれちゃった」痺れるようなグルーヴとゆったりしながらもダンサブルなビート、相対する浮遊感のあるギターの音色とウィットに富み軽妙なボーカル。彼らの楽曲やMCには、他のバンドにはない、窮屈で生きづらい現代社会をおちょくるような開放感、毒っ気がある。それが唯一性の由来なのではないだろうか?  カバー曲を交え10曲40分間、これほどまで濃密なライブをオンタイムでやり切るのは彼らのフェスでの場数の多さを物語る。決して必死さは無く、あくまでイージーゴーイングに。メンバー、観客ともにリラックスし、時折笑顔を見せながら時間は過ぎていった。(こ)
サブステージ
Perc.from メロウ イエロー バナナムーン/Bass.from MINAMIS/Cajon.from MINAMIS/Gt.from THEラブ人間・MINAMIS/Vo.from ハイとローの気分・MINAMIS&Special Guest from THEラブ人間 ① 丸の内サディスティック②笑えれば③風をあつめて
 1階サブステージを飾るのは自称WMSアコースティック急造カバーバンド、が、その完成度は入り口の階段上まで埋め尽くす聴衆の心をグッと掴んで離さない感涙もので、広くはないステージで隠しようもない通しリハーサルをすでに一度観てしまっていたにもかかわらず、むしろ永遠に聴いていたくなるなんとも素敵な光景がそこには繰り広げられていた…それは痺れるような妖艶さと気持ちの良い軽薄さとが混ぜ合わさった豪華な晩餐のようなものである。(実際出店しているカレーやサンドイッチを多くの人々が手に手に抱えながらステージを眺める様子がとても愛おしい時間を演出していた)やはり人は本気の遊びを見ると楽しさを超えて涙すら流してしまうことがあるようで、まさに今日のこのサブステージがそれだった。3曲目、個人的には日本を代表する歌の一つに数えている”風をあつめて”でTHEラブ人間より金田康平が客席より登場、マイクを握りつつ、ギターを弾いている坂本遥には「もっとやれもっとジェフ・ベックだ!!」とけしかけ、応じるギターは秋の夕暮れに哭いており…たった一度の集いは全てのひとの心に永く残って行くはずだ。(しょざわ)
The Chimney Sweeper
今回はオリジナル・メンバーに加え、ホーン隊を迎えての特別編成で登場したThe Chimney Sweeper。バンドというよりは楽団と形容した方が正しいような、温かく厚みのある音が会場に響いた。フォーク、カントリー、インディーポップなどさまざまなジャンルを吸収し形作られた楽曲と、それに乗せて歌われる文学的な歌詞が、僕たちをワクワクさせる。  1曲めの「Crevice For Less」は少し暗いワルツのリズム。「East Love Is West Side Away」は変拍子なのに、どこか心地良いのが不思議だ。曲に合わせて、自然と体が揺れてしまう。次の曲「Comedy Room」では、vo.中村の呼びかけに応じて、観客が照れ臭そうに笑顔で手拍子に参加していたのが印象的だった。派手に動いて盛り上がるような雰囲気ではなく、みながみな静かに、好きなようにチムニーの世界に浸っていた。4曲目は「Close To The Future」。前のヴァージョンも良かったが、やはり今回のアレンジの方がホーンの音とも合っていて良かった。あの軽快なイントロが忘れられない。最後に披露したのは、「Via Saigon」。異国の情景が浮かび上がってくる。ステージを締めくくるのにふさわしく、静かで力強いクライマックスだった。  物語性の強い文学的な歌詞が、このバンドの魅力だ、と改めて感じた。観客を会場の外へと連れ出していってくれるような、不思議な世界観があるのだ。今回サポートとして参加したホーン隊の優しく、かつ迫力のある音も一役買っていただろう。そしてまた、それにも劣らず観客の心を掴むのは、曲の親しみやすさだ。どの曲も、一度聞くと頭から離れなくなってしまうようなキャッチーさがある。The Chimney Sweeperを単にジャンルで語るのは難しい。その音楽を知りたいと思ったなら、直接ライブを観に行って体感するしかないだろう。彼らの物語がこれからどのように続いていくのか、心から楽しみだ。(りょ)
THEラブ人間
2年を経て今再びの邂逅を果たすまでに僕たちは一体どれだけのことを学び、泣き、笑い、成長してこれたのだろう。前回そのステージングに感動に声を枯らした早慶音楽祭と比べればハコの収容能力自体はより大きなイベントとなり、それを単純に成長と呼べるかどうかは別としても、ワセレコも、バンドも、当然同じままのそれでは有り得ない。それでも…やはり最高の音楽の前では僕らは平等で無力だ。いつどこで聴いたとしたって沸き立つ歓喜は、巻き起こる感動は、決して変わることはなくそこに存在しつづける。RockでもPunkでも、SoulでもFunkでもない、ラブソング。THEラブ人間。一曲目の冒頭からどこからともなく湧き上がる手拍子。セットリストは至高のアンセムが並ぶ最強の布陣。そうだ、何人たりともこの最高級にポップなラブソングの振動に抗うことなどできやしない。スチールの画像を見てみてもらえればわかるはずだ。WOMBならではの巨大なミラーボールが各面々が反射する100万の光の束は煌き、僕の視界に入る限りの観客は誰もが一度は諸手を挙げて体を揺らさないわけにはいかないのだ。先にサブステージにて金田(Vo.)の求めに応じて渾身のハードロックなソロで魅せた坂本(Gt.)は”青春”でもギターを抱えたままステージから柵に飛び移り、(一度滑り落ちてヒヤヒヤさせつつも)ついにはギターを手放してそのまま柵上で絶唱。それはもう、青春でしかない。2年目の「ショーケース」は実に潔く心地よく、その幕を降ろしていく。(しょざわ)