WMS.3 ライブレポ公開!

こんにちは。

本日はWMS.3(9/19 代官山Space Odd)のライブレポートを、写真とともにお届けします。

 

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音楽の持つ不思議な力を実感した、すばらしい時間でした。

来られた方とも、来られなかった方とも、もう一度あの瞬間を共有したい!

そんな僕たちのわがままに、もう少しだけお付き合いください。

 

 

それではどうぞ!

 

 

Laura day romance

ローラ1

15:17。1曲目「夜間飛行」からスタート。これから7時間8組アーティストが出るWMS.3の幕開けを鮮やかに飾ったLaura day romance。最初の音源では3人編成のアコースティック演奏によるもの。それはそれで雰囲気があって良かったが、バンドセットだとこんなにも色があって会場全体の雰囲気を作り出せるのだな、と感じた。

ローラ3

そして3曲目「ランドリー」。とてもしっとりとしていてしっとりした中でもじっくり聴かせる部分もあって、緩急の効いた素敵な曲だと思った。次はアップテンポなギターロック。こんな曲もやるんだな、と少し驚いた。曲の幅が広くこれから作られていく曲が楽しみになった。バンド全体のバランスがいい、そしてメンバーが楽しそうなのが伝わってくるプレイだ。そしてラスト入りのツインボーカルのハモリが気持ちいい「大停電」で締めくくった。

5月のくまロックvol.20に出演してくれた時よりもライブ慣れしていて凄く見応えがあった。現役大学生の彼らからこれから目が離せない。

 

 

SUPER SHANGHAI BAND

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2番手はSUPER SHANGHAI BAND。最近のインディーズ界隈じゃ知らない人はいない、あのSUPER SHANGHAI BAND。もう彼らのライブには何度も足を運んでいるけれど、それでも彼らのステージが始まる前にはドキドキしながら最前を陣取ってしまう。

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4人がステージに上がり、「Night Out」の始めの一音が鳴った瞬間に、爆発が起きたようにそれまでの穏やかな空気が吹き飛ぶ。もうほとんど革命なんじゃないかとたまに思う。大袈裟かもしれない、けれどこんな一瞬で、こんな一音で、こんなにも気持ちを変えてくれるバンドはなかなかいない。カッコイイだけじゃ絶対に済まされない。6曲目「Bonnie」がそうだ。カッコイイだけじゃ済まされないと言い切れるのは、この曲を聴くたびに何か懐かしいような暖かいような、昔持っていた何か、何かそんなものを思い出すから。SUPER SHANGHAI BANDは絶対に彼らだけのものだ。初期衝動に近い爆発力を少しも衰えさせることのないまま進化し、変化していくこのバンド、もはや恐ろしい。

 

 

 

井手健介

井手健介1

喧騒が残ったフロアにアコースティックギターの柔らかい音が響き渡る。3番目は井手健介、弾き語りの演奏だ。少し掠れた声で囁くように歌いながらもひとつひとつの言葉ははっきりと心に刺さる。客たちはみな耳を澄まし集中して彼の演奏に聞き入っていた。彼の囁きは叫びになって、フロアの空気をぐっと掴む。

井手健介2

しかし私は彼の歌に次第に違和感を持ち始める。歌詞が、なんだか変だ。『お金がない 仕事もない 家はある かろうじて』って。顔ゆがめてつらそうに歌うもんだから可笑しくてつい吹き出してしまう。ギター侍か、と突っ込みを入れたところで「ねるねるねるね」、「清原」とコロコロ曲のテーマが変わっていく。柔らかい曲調に思わず笑ってしまうような歌詞、そのアンバランスさが生み出す不思議な磁力のようなものに客は吸い寄せられる。ライブ開始時よりもずいぶん客が増えた。奇妙な、それでいて心地の良い空気をまとった、今まで体験したことのないライブだった。

 

 

 

 

水いらず

水いらず1

私にとっては初めての水いらずのライブ、音源は聞いたことがあったものの、ライブは想像以上に強烈だった。

激情的な演奏と切なさの共存、聴くものの胸を大きく揺さぶる音楽だと、始まりの「漏れいる昨日」、一曲目で直感した。新しいのにどこか懐かしくもある。

余韻に浸る中鳴り響いた轟音、二曲目「モノクローム」が演奏される。軽快なギターリフ、サビのバンドのサウンドが合わさる瞬間が心地良い。私達がここで来て欲しい!という音楽のノリのツボを押さえたようなそんな曲だ。

水いらず2

打って変わって静かなサウンドの「僕のまま」では丁寧に、歌詞へと感情を閉じ込めていく。4曲目ベースが特徴的な「惰眠」で、聞き入る観客も思わず体を揺らし、会場中の気持ちが最高潮まで盛り上がってきたとき、ボーカル・イノウエさんの「多分一番いい曲です」という一言。最後の一曲が演奏されようとしていた。

 

背景には、夕焼けの映像。最後の一曲は「ビー玉の記憶」。ノスタルジーを誘う、水いらずの音楽の良さが滲み出た最高の一曲だった。思わず日本語と音楽って綺麗だなと思ってしまった。

歌詞と歌声の表現力に、激しい演奏のギャップ、結成1年とは思えない世界観で、会場を圧倒した水いらず。彼らの音楽にはワセレコも大注目しており、今年度のワセレココンピレーションアルバムにも収録が決定しています。是非チェックを!

 

 

 

カネコアヤノ

カネコアヤノ1

5番手は1st LP「群れたち」をリリースし、各店舗で完売が続出しているカネコアヤノ。

ふんわりと漂うようにステージに現れ、おもむろにギターを手に取った彼女。軽く挨拶し歌い出すと、会場の空気はガラッと変わる。彼女の目つきは途端に鋭くなり、会場が伸びやかな声で満たされる。なんとも芯があって力強い歌声。バンドセットを味方につけて歌う彼女も、強さを纏いかっこいいのだが、一人弾き語りで歌う彼女は、なおさらその魅力が際立つ。また、彼女自身がテンポや歌声を自在に操ることによって、彼女の歌詞の説得力が増しているようだ。

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ライブは「群れたち」に収録されている曲を中心に披露。優しいアルペジオや打ち鳴らすギターと共に繰り出される、カネコアヤノ自身に言い聞かせているような、私たちリスナーに訴えているような、そんな彼女の歌詞に心を掴まれっぱなしだ。まさに「かわっていく」彼女の今後に、目が離せなくなるようなライブであった。

 

 

 

 

Hei Tanaka

始まりはざわめき。1階のDJブースからステージのある地下へ、6人が楽器を鳴らしながら練り歩いてくる、これぞHei Tanaka。Dr.池田がステージ中央のドラムパッドの前に立ちリズムを刻み出すと、サックス、ベース、ギターと次々に音が重なっていく。それぞれの音がぶつかり合い、弾け、熱を帯びる。会場のどよめきもそのままに「MYAN」を駆け抜けると、S. Sax.サトゥーのほとばしるようなソロが始まり、客席からは掛け声も。観客の熱も高まってきたところで、A. Saxあだちの曲である「富士山」へと続く。富士山よりも力強く険しい彼らの姿に呆気に取られていると、VJの鮮やかな演出と相まって、Hei Tanakaの世界に迷い込んでしまう。いや、もはや、観客である自分自身がHei Tanakaの一部になってしまったような感覚。

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Gt.牧野のバンド小鳥美術館のカバーに震えたまま、早くも最後の曲へ。ソプラノ、テナー、アルトサックスの音が絡み合う中、池田の鳴らすリズムが身体を駆け巡り、牧野のギターが心をくすぐり、田中の唸るようなベースが地を這う。感情の発露を目の当たりにした40分。興奮、熱、驚きと共に音楽に包まれながら終わる、またとない体験であった。

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折坂悠太(合奏)

近年あちこちで叫ばれているシティポップの再来というワード、その再来に伴っていわゆる”古き良き時代”の邦楽にインスパイアされた音楽が急激に増えたのは今更ここで取り上げる事でもないだろう。しかし、どうもその波に私は乗り切れていなかった。正直に言えば生きていない時代に生み出された音楽に”共鳴する”ことは出来ても”感じる”ことはできないと、心のどこかで分かっていたのである。

その点、折坂悠太の音楽は(少なくとも私にとっては)”等身大のローカルな懐かしさ”であった。

大変申し訳ないのだが、今回のWMS.3まで私は折坂悠太というアーティストを知らなかった。しかもよく見てみると名前の横に(合奏)の二文字。こりゃ一癖あるんだろうなと楽しみにしていた。

そしてついに迎えた本番。件の(合奏)の真相は、ギター(折坂)、ベース、ドラム、キーボード、クラリネットであった。なるほど、クラリネットか。それならば合奏という表現はしっくりくる。

折坂悠太1

そして初めて聴いた折坂悠太の歌声は、一言で言えば”民謡的”であった。それこそ自分の祖父母が歌っているかのような。これこそが先に述べた”等身大のローカルな懐かしさ”を感じた一番の理由だろう。 他の演奏陣も彼の歌声を際立たせる、まるで静かな地鳴りのような演奏を見せてくれた。

珍しい演奏形態だから、という理由だけではない魅力が彼らの演奏にはあった。折坂悠太の音楽の底で息を潜めるマグマは静かであるが、着実に私たちの体に流れ込み、そしてその全てを感じさせる。それはこれから彼の音楽に出会う人々も同じ経験をすることだろう。

 

 

 

ナツノムジナ

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穏やかに、遠くから聴こえるようなVo.粟國の歌声。まるで、後ろのスクリーンに映るどこかの、”誰か”の原風景から言葉が届くかのような…。

―海鳴りがするんだ あなたを呼ぶ声が―

 徐々に音の重なりは厚くなり、歪んでいく。「暈」はアルバムのリードトラックで、背後にはMVが投影された。フロアへ流れ込む音の波がその激しさを増すにつれ、観衆の身体の揺れも大きくなっていく。海鳴りのような轟音が止んだとき、遠ざかっていくひずみの中にスクリーン上の海面が静かに揺れていたのが印象的だった。

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「ナツノムジナです。今日はWMS.3呼んでくださってありがとうございます。」

控えめなMCはいつもと変わらない。しかし、確実に、進化している。初めて出会ったときはもっと真っすぐで率直な表現だったが、この数年の間で何倍にもその世界観が広く深くなり、他の同世代バンドと違う次元に到達したのだと気づいた。

ナツノムジナ3

―戦争が 兵隊が 灯台が 火の鳥が その手を握ればよかったの―

 

アンコールは「天体」。「淼のすみか」のコンセプトの中には間違いなく海の情景が込められているけれど、私の中でそれはピーカンの晴れた海では決してない。雲がかかっていて、朧気で、必ずしも優しくない海だ。「孤独」や「焦燥」や「憧憬」や、いろんな感情が綯い交ぜになって、艀に浮かんでいる。見上げると月が、天体が顔を出し、ゆっくりと私たちの時間を回している。

 

―夜は来ないのさ 天体が時計を守る 青ざめた未来が でもそうだよ―

 

 

 

ワセレコ3