「落差草原 WWWW」ライブレポート 〜「アジアシーン」という単語について〜

最近、もっぱら「アジアシーン」という言葉を耳にします。フジロックでも「ラインナップから見るアジアシーンの現在形」という記事が公開されています。この単語を用いることに多少の懸念はありますが、そのことについては最後に話します。とにかく、僕もここ数週間、台湾や韓国、タイなんかの音楽にお熱です。

 

申し遅れました、Waseda Music Recordsの植村と申します。今回のブログは、僕が7月10日に渋谷wwwでの来日公演に行ってきました、「落差草原 WWWW」という台湾の音楽集団について話していきたいと思います。

 

 

 

 

このアートワークからして個人的にはビンビンきます。彼らはアルバムのジャケットや諸々のデザインを自分たちで行なっているようです。音楽だけでなく、VJやグッズなどにもかなり凝っており、ライブ会場の空間全体を使って彼らの世界観を演出しているような印象でした。そうしたマルチアーティストとしてのスタンスは、日本でも自主レーベルの急増に伴ってこれから増えてくるのではないでしょうか。

 

彼らがどんなパフォーマンスをしているかについては、このライブ映像を観て頂ければ早いと思います。

 

 

 

 

彼らの所属するbig romantic recordsは、彼らのことをこう紹介しています。

 

―民謡とサイケデリック、エクスペリメンタルが融合した唯一無二の音像と激しい音の渦の中に生命力を感じさせる台湾の浪漫エクスペリメンタル音楽集団。

 

「浪漫エクスペリメンタル音楽集団」。なんと素晴らしい響きでしょうか。エクスペリメンタルというジャンル(そもそもジャンルなのか?)については定義が難しいですが、ひとえに「実験音楽」と訳していいものではないと思っています。個人的には「テクノ、ノイズ、アンビエントなどの多様な先鋭的な音楽要素を取り込んで独自の形にしたもの」と解釈しています。落差草原でいえば、サイケデリック、アンビエント、フォーク、台湾民謡などと言った要素を融合し、彼らの音楽に昇華させています。ビョーク、Tame impala、Eli Keszerなどが好きな人はきっとハマってくれるかと思います。あとは最近再始動したStereolabなんかも親和性がある気がします。

 

 

そして先日、僕、最前のど真ん中でライブを観てしまいました。しかもすっかり踊り狂ってしまいました。もし邪魔だなあと思っていた方がいらっしゃいましたら、本当にすみません。




感想を一言で言うと、ガンギマリです。エクスペリメンタルとかサイケデリックな音楽だと特に、生で観るという行為と音源を聴くという行為で体験としてまるっきり違いますね。また、画像でわかる通りVJが最高でした。できることなら全てお見せしたいのですが、夢中でノっていたので携帯を構える暇もありませんでした。

 

音像としては、思った以上にlowが強い印象でした。ゴリゴリの低音と浮遊感のある電子音の調和に、最近のソウルやR&B、HIPHOPなどの要素とアンビエント(環境音楽)の要素の融合を感じました。

 

また、五人中三人(二人だったかも、だったらごめんなさい)がimacを構え、最新機器を駆使した音楽を演奏している中、リコーダーやピアニカなどプリミティブな楽器による民族的な音色が強く印象に残っています(どっちも西洋楽器ではありますが)。現代音楽に民族的な要素を取り入れる手法からは、U-zhaan、坂本龍一、環ROY、鎮座DOPENESSの共作「エナジー風呂」を思い出しました。

 


 

さて、タイトルにもある「アジアシーン」という単語ですが、抵抗がある方も多いのではないかと思います。アジアという広範な地域においてまとまった「シーン」なるものが存在するものか、確かに僕自身も疑問です。UK、US、北欧なんかは使うにしろ、「ヨーロッパシーン」なんて言いませんものね。

 

ただその背景には、これまで西洋音楽が近〜現代の音楽市場を圧倒的にリードしてきた現状があり、それは誰も否定することができないと思います。それを前提とした上で、アジアの音楽がようやく見直されてきているという文脈での「アジアシーン」という単語は、大いに意義があると私は思います。特に台湾や香港などでは、複雑な社会情勢も相まってカウンターカルチャーとしての音楽が独自に発達していますね(これも一概に言える話ではないですが)。

 

ただそこにも注意が必要で、例えばDYGLやkikagaku moyoなど国籍にとらわれずワールドワイドで活躍するバンドに決して適用していい単語ではありません。CHAIに関しては、、、難しいですね。

 

ゴタゴタと能書きを垂れましたが、国籍やら社会情勢やらそんなことを意識せずとも好きな音楽を好きなように聴いていたいものです。

 

兎にも角にも、ライブは素晴らしかったです。字数の関係上触れてきませんでしたが、Black BoboiとDJ Suiminも当然バチバチでした。どちらも今後追いかけていきたくなるパフォーマンスでした。

近いうちにWWWβなんかに出てくれたら遊びに行きたいなあ、と思っています。

もちろん落差草原も再度の来日をとても楽しみにしています。次はこちらが台湾に遊びに行きたいですね。

 

 

 

固くて読みづらい、稚拙な文章にお付き合いいただきありがとうございます。

皆様、是非ライブハウスやクラブでお会いしましょう!

 

Waseda Music Records 植村